旅あれこれ

◎フェルメールの歩いた町、デルフト。オランダの小さな魅力的な町。

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オランダに行ったのは2003年です。だいぶ昔ですねー。その時行ったオランダの小さな町を紹介します。

 

そもそもオランダは小さい国で。

大きさは九州くらいです。そのほぼ真ん中に首都であるアムステルダムがあり、そのそばには世界最大規模の空港の一つ、スキポール空港があります。

なので、オランダ観光の拠点は一般的にはアムステルダム。アムステルダムと主要な町は電車で結ばれているので移動も簡単。だいたいどこも日帰り可能で、わざわざ宿を移す理由はないみたい。

でもわたしは、7泊9日の旅行でずっとアムステルダムにいるのも芸がないと思い、前半3泊はアムステルダムに宿泊し、後半4泊はデルフトに宿をとりました。アムステルダムとデルフトは電車で1時間程度の近場なので、デルフトだけ観光するのであればアムステルダムから日帰りも可能です。

しかしデルフトはフェルメールが生涯を暮らした町です。
そこを地元民のような顔で歩き回ってみたかった。
フェルメールの足跡を踏んで歩きたかった。

オランダは主に南西部に行ってみたい町が多かったですね。実際に行ったのはデルフト、ライデン、ハーグ、ロッテルダム、キンデルダイク。

他に行きたかったのはユトレヒト(←ミッフィーの町だから)、ベルギーだけどアントウェルペン(←「フランダースの犬」に出て来るから)もあったのですが、取捨選択の上、近場になりました。

この辺りの選択には他の方法もあったのかもしれない。ロッテルダムに宿を取った方が位置的に何かと動きやすかったとは思うのですが、ロッテルダムは都会なので、もっとちっちゃな町に泊まりたかった。総合的にデルフトの引力の方が強かったのです。

 

デルフト。フェルメールの暮らした町。

アムステルダムから電車で1時間くらいです。

アムステルダムも運河の町ですが、デルフトは町の規模が小さい分、より運河の存在が目立つ。

町の中心はマルクト広場。マルクトとはマーケットの意味ですから、昔からずっと朝市が開かれて来たところ。
今でも変わっていなければ木曜日に朝市が開かれており、ここは食料や生活雑貨のマーケットみたい。パンとかチーズとか果物屋さんとか。手芸の店だったり、ちょっとした電化製品だったり、現実的だなーと思った記憶があります。

しかしこの朝市のための屋台を組み立てる音がうるさかった!

わたしは広場に面した安宿に泊まったのですが、木曜日の夜明けになんだかわからない大音響で跳び起きました。耳元でシンバルを打ち鳴らされたような衝撃でした。

「ここは誰?わたしはどこ?」の状態で一瞬パニックになったのですが、窓から外を覗いてみると、前日まで広々とした空間だったマルクト広場がテントの海になっている!

おそらくあの大音響はテントの設営に使った鉄パイプがぶつかった音だと思われます。いや、それにしてもほんと耳元で聞こえたなー。よくみんな寝てられる。でももう慣れちゃってるんでしょうね、地元の人は。

その後、何年か経ってから読んだ本でフェルメールを描いた小説がありました。

 


真珠の耳飾りの少女 (白水Uブックス)

わたしはこの小説が好きでしたー。
この絵のモデルになったのはフェルメールの家の小間使いの少女という設定で、絵の手伝いを通じて画家と心がふれあい、淡い恋心を抱くという。結局恋はかなわず、少女は年齢も身分も釣り合った肉屋の息子と結婚するのですが、その肉屋はまさにこのマルクト広場に屋台を出していたことになっています。

知ってる。知ってるよ、そこ。
と思いながら読みました。

映画にもなっています。

 


真珠の耳飾りの少女 [DVD]

映画も良かった。ちょっとジャケットが煽情的過ぎてイヤだが……。

繊細な感情を描いた、控えめな映画なのに。コリン・ファースとスカーレット・ヨハンソン。

今も威容を保つ市庁舎。

細長いマルクト広場の一方の端には昔からの市庁舎がどんと構えています。

17世紀に建造された建物だそうですが、何と今も現役。日本の木造建造物とは多少事情が違うとはいえ、驚きますね!

横から見ると古い建物の前面に新しい部分が追加されたのがわかります。

Delft, monumentaal pand4 foto8 2009-09-27 14.18.JPG
By Michielverbeek - Own work, CC BY-SA 3.0, Link

塔の一番早い部分は1300年頃からは作られ始めたようです。その後、それにくっつける形で増築されていた部分が火事で焼け落ち、17世紀にルネサンス様式で再建されたのが今見る正面部分。
窓の赤い雨戸?がかわいいですね。

そんなに大きくはないですが、デルフトを代表する建物。

せいたかのっぽの新教会。

マルクト広場を挟んで市庁舎と向かい合うのが新教会。

この辺が我々にはピンとこないところなのですが、新教会といっても全然「新」ではない。だって1381年から竣工されたらしいですから。1381年って新じゃないだろ!と心からいいたい。日本だと足利義満の時代です。

建物としては珍しいほど細っこいプロポーションです。特に正面から見るとね。ここは塔に登れて、登ると周囲の景色がとても良いそうです。……わたしは登りませんでした。そんな根性はないのです。

新教会の内部です。――そのはずです。写真の並び的に。当時はまだフィルムカメラの時代でしたー。日付が印字されるんですよね。現像した写真をスキャナで取り込んだものです。教会には内部が暗いタイプと明るいタイプがありますが、ここは暗いタイプ。

 

デルフトには昔、オラニエ公ウィレムが居館を構えていたそうです。
そう言われてもピンと来ないね。誰?

大雑把にいうと、オランダがスペイン・ハプスブルグ家の支配を受けていた時代から、オランダがオランダとしてまとまってくる時代のリーダーらしいです。難しい立場のなかで暗殺されてしまったけど。1584年。

そのお墓が新教会にあり、その流れで現国王家のお墓もこの新教会にあるそう。

傾いている旧教会。

新教会があるということは旧教会もあるわけです。

これ、旧教会というよりは古教会という方が正しいですよね。オランダ語ではOude Kerkなので、おそらく英語でいうとOld Church。旧教会と言われると「昔は教会だったけど、今は違う」という風に捉えてしまいます。

これ、どう見ても傾いてますよね?

実は本当に傾いているんです!運河がいっぱいあるような地盤が水っぽい土地なので、重みがかかりすぎて建設中に傾いたらしい……。途中で修正して建てたとか。修正じゃなくて建て直せ!と言いたい気持ちでいっぱいなのですが、傾いたままおよそ700年くらい?立ち続けているようです。

フェルメールのお墓があるらしい。記憶にはない。内部は明るく白く、ステンドグラスが鮮やかです。

「デルフトの眺望」、東門付近。

フェルメールの作品に「デルフトの眺望」という絵があります。わたしがフェルメールで2番目に好きな絵。

デルフトの眺望
ヨハネス・フェルメール - www.mauritshuis.nl : Home : Info : : Image, パブリック・ドメイン, リンクによる

デルフトの東門あたりはこの絵に描かれた風景と言われています。

大変残念だが天気は悪い。

たしかに門の形は似ているけど、ぴったりではないですね。長い年月の間には改修もされたかな?こういう風景が普通にあるのがデルフトの魅力ですね。天気が良かったら運河沿いの散歩が楽しいですね。建物が可愛いし。町の規模が散歩にちょうどいい。

あ、東門から1キロくらい離れたところに今はIKEAが出来てる。時代……。

ロイヤル・デルフト。青のデルフト焼の秘密。

青の焼付が美しいデルフト焼。町を歩いているとお土産屋さんでよく見かけます。でもせっかく本場に来たのだったら、デルフト焼の工場も覗いてみてください。市庁舎からはだいたい1.5キロくらいです。バスでも行けるそうです。

ロイヤル・デルフト

ここは工場というより美術館ですね。その辺に売っているものとは繊細さが違う。陶磁器をじっくり見られます。日本語のオーディオガイドもあるそうです。

なお、ここの必見はレンブラントの「夜警」をタイル絵で表現したものです。これは印象に残ります。

予約すれば絵付けの体験も出来るらしい。絵付け体験自体は30ユーロ前のようで、これは妥当かなーと思いますが、後日焼いたものを日本へ郵送してもらうのは1万円超えそう。ちょっと高額かも。

カフェはわたしはたしか入ってないけど……。値段は思ったよりはお安め。

陶磁器工房の見学はあまり他の町では見ない毛色の変わったイベントなので、面白いんじゃないかなと思います。陶磁器に興味のある方はぜひどうぞ。

オラニエ公の居館、プリンセンホフ博物館。

先に名前の出たオラニエ公ウィレムの居館だった所&暗殺された場所。今は小さな博物館になっています。内容は地味めで、オランダ独立戦争時代の絵画が多いかな。居館である前は女子修道院だったので、そういう館の雰囲気が味わえます。

中央はウィレムの立像。

フェルメールセンター。

これはわたしが行った時はなかったんですよね。フェルメールの聖地で何もフェルメール関係のアトラクションがないのは観光的に取りこぼしている、と誰かが気づいたに違いない。

フェルメールは寡作の画家として通っており、確認出来ている絵は35点前後のようです。その中にも真作かどうか疑問が持たれているものもあるので、堅いところとしては30点くらい。

ここではフェルメールの全作品(とされる)ものをパネル展示してあります。想像ではあくまでアトラクションであり、美術館ではないような気がします。解説は詳しいそうなので面白くはありそう。ただ日本語解説はないらしい。

 

デルフトは1日たっぷり楽しんで。

以上、デルフトの見どころでした。

その他にも、観光案内所で貰える地図には、フェルメールの住んでいた場所、生まれた場所などが書いてあったと思います。せっかくデルフトに行くならそういった場所も見てみるのもいいかも。

フェルメールは生涯をデルフトで過ごした画家ですから、生家の周辺や新教会、旧教会などは必ず行っているはずですよね!足跡が重なるかと思うとテンションが上がります!まあその間には何千人もの人が同じ地面を踏んでいるわけだが……

ところで今思い出したのですが、わたしはデルフトでオランダB級グルメ?の塩漬けニシンのハーリングを屋台で食べました。
魚だけが出て来るものだと思っていたのですが、案に相違してパンにはさまれて出て来た。パクっと食いつく直前に「果たしてほぼ生の魚とパンを一緒に食べるのは正しいのか?」と一瞬パニックになりました。好き嫌い多いんです。

しかしパクっと食べる勢いは止められず。がっつり一口かじって、――喜んでください!美味しかったです!食べられました。

アムステルダムから日帰り観光も出来ますので、オランダに行った場合はぜひデルフトにも足を伸ばしてみてください。町の規模も散策にぴったりです。

 

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