とあるラジオ番組を好きで聞いているのですが、そこで突然お題を出されて、そのテーマで10分喋るというコーナーがあります。それは難しいよなー、普通出来ないよなー、というところから、文字で同じことをやってみようと思いました。
お題は国語辞典を任意で開いて、そのページの左上の最初の単語にしました。そしてその単語についてインターネットその他で調べるのは禁止。その時点で書けることだけで書く。
そういうルールでやってみた、
前々回と、
前回の挑戦。
この時はどちらもマンガの思い出になってしまいました……。マンガは意外に自分の血肉になっている、と感じた出来事。
3回目の今回のお題は「フォービスム」。よーい、どん。
うわー!これは無理やわー。まったく知らん。
「フォービスム」は美術用語です。意味は「野獣派」。フォービスムと呼ばれる画家はマチスと……うーん、あと誰だったかな?
フォービスム:20世紀初めにフランスのマチス・ルオー・ブラマンクら、反アカデミー派の画家が起こした新しい美術運動。野獣派。(国語辞典より)
フォービスムがどんな方向に新しいのかということを書いといてくれないと意味がないのではないか、新総合国語辞典よ。まあハンディサイズの辞書にそこまでを求めるのは酷ですか。
フォービスムってよく聞くんですけど、じゃあどんな意味か、っていうと全く知識がないんですよね。フォーヴ(野獣)ってくらいだから荒々しい、荒っぽい筆致の、描き殴ったような作品を作ったのかなと思いますが。
マチスは一応認識してしています。そんなに好きではないけれども。
色鮮やかな絵を描く人。代表作のタイトルは、と言われると思いつかないが……。切り絵に「踊る人」というのがありましたか。小品が多いので、あちこちの展覧会でちょこちょこ見かけます。しかしよく考えたら「マチス展」というのはあまり記憶にないな。多分やっているところはあるんだろうけれど。
マチスは長生きだった気がする。その画家人生で晩年は絵というよりは切り絵をたくさん作った人。この切り絵はわかりやすく独自性があり……ベネッセのマークによく似ている。
独自性があり、と言ったそばからベネッセのマークとか言い出すのは変ですが、順番的にはベネッセがマチスから着想を得たことはあっても、その逆はないでしょう。
それから、フランスの小さな町の教会にステンドグラスをデザインしましたよね。村の名前は忘れました。この教会には行ってみたいんですよねー。白い壁にステンドグラスの青や黄色が映えてとてもきれい。
前に調べたことがあるんですが、南フランスの、どこだったかなー。印象ではマルセイユに近い辺りだった気がします。行こうと思って行けない場所ではなかった。これが山の中の村で日に2本くらいしかバスが通ってないような場所だと行こうと思ってもなかなか行けないですからね。
そういうステンドグラスなどのことを思い出すと、マチスが色彩の画家と言われるのはわかる気がします。赤が特徴的なんじゃないかな……。朱色が勝った赤。あとは濃い肌色。そういう女の人をよく描いているイメージです。
ルオーは。よく知らないながらもちょっと好きな画家です。たしか数年前に宮城県美術館で中規模のルオー展をやりました。
ルオーの絵は……こってり厚塗りで、色合いも黒っぽく、何を描いているのかはっきりわからない朦朧さ(?)がある。ヘタウマっぽくもあり、きれいなとか上手なという言葉にはあてはまらないのだけれど、その絵を描いた精神に誠実さを感じる。
それはおそらく、隣県の山形美術館にあるルオーのキリスト像から来ている印象だと思います。タイトルは忘れたけれども、キリストの顔だけを描いた小品。
どこが顔でどこが髪の毛か見分けづらいくらいに塗ってあり、通常だったらきらいなタイプの絵だったと思うのだけれど、その絵のキリストには苦しみを乗り越えた慈愛を感じた。ひいてはそれを描いたルオー自体に、苦しみを乗り越えた希望を感じたんです。
だいぶ近代になってからの画家なので、絵画の主流はもうとっくに宗教画ではなかった時代です。そんな時期にルオーはかなりの割合の宗教画を描いていて、その真剣さもルオーが好きな要因かもしれません。
宗教画を描いたからといって真剣で誠実だとは言い切れない。でも近代・現代になってからの宗教画は、絵が職人のものだった時代のシンプルさでは描けないと思うのです。対峙する覚悟をもった上で――あるいは何かを求めた上で、しか。
しかしルオーの絵はほんとに野獣っぽい。マチスが野獣派だと言われてもあまりピンとこないけど、ルオーが野獣派というのはよくわかります。わかるというよりぴったり。ルオーの描く人物は(多分全部が全部ではないだろうけど)、「ガオー!」と言い出しそうな野性味に溢れています。
ブラマンクは正直、どんな絵だったかもやもやっとしか思い出せない画家……。たしか記憶の底に残っている、黒い太い直線でガツガツと割るように描いたあの絵がブラマンクじゃなかったかなと思いますが。わたしの中ではブラマンクとブラックを混同する気配、多々あり。多分混同する画風じゃないと思うんだけど、ブラックがブラマンクに輪をかけて記憶にない……
答え合わせ。
これで1800字ちょっと。まあまあいけましたかね。
フォービズム、全体については全く知識がなかったので、辞典上で挙げられた画家について書いてみました。ルオーはねー。好きなんですよ。全然好きになれそうにもない画風にもかかわらず。
では答え合わせをしてみます。
フォービスムとは……
色々詳しい説明はあるのでしょうが、「色彩を感情表現の手段として使った」という説明が一番ぴったり来ました。なので実際の色がどうあるかに関わらず、塗りたい色を塗って行ったと。
その結果、原色の明るい(激しい)色使いが多くなり、そこから「野獣の檻の中にいるようだ」という批評家の言葉が出て、それが定着したのが野獣派。特に党派的な結束はなく、外側から大きく被せられた枠であったと。
なるほど。フォービスム、フォービスムとは聞いていたけどそういうことだったんですか。ちょっとわかった。
マチスとは……
ああ。代表作は「ダンス」ですね。多分。MOMA(ニューヨーク近代美術館)にあるやつ。
生涯を通じて、作風がだいぶ変遷した画家である気がします。ネット上で探すと初期にはシニャックみたいな点描も描いてるし。
切り絵の代表的な作品は「ジャズ」ですね。わたしはマティスは切り絵部門が好きかもなあ。
そして、マティスの「ステンドグラスの教会」はヴァンスという町のロザリオ礼拝堂でした。ヴァンスはマルセイユの近くというよりはもっと東寄り、ほとんどイタリアに近い。ニースのそば。
マルセイユまでは行ったことがあるのですが、ニースは行くかなあ……。マルセイユはちょっとしか見なかったのでまた行ければいいなと思っているんですけれど。ヴァンスまで約200キロ。旅のエリアとして考えると、フランス南東部じゃなくて南西部のカルカッソンヌ近辺に行きたい気がします。
赤が印象的だと思ったのは、多分「大きな赤い室内」の印象があったからでしょうか。「踊る人」という作品タイトルは見当たらなくて、「ダンス」のイメージから来ていたのかなあ。
ルオーとは……
山形美術館には記憶によれば、小さいがいいルオーがあったはずなんだけれども……コレクションの中には名前が出て来ない。うう。あった。はず。きっと。でも見たのけっこう前だしなあ。
あんなにガシガシ描いたのに、色は丸くて(?)きれい。ピンクがかわいくてねえ。野獣が見せるカワイゲにやられてしまう。「道化師」シリーズなんかも良い絵がありました。
パナソニック汐留ミュージアムがルオーをたくさん持っているそうなので、見に行きたいなーと思います。
ブラマンクとは……
この人もけっこう画風が変遷した画家かもしれない。記憶にあった絵はブラマンクで合っていました。
こうやって見るとブラマンクもいいかもなあ。展覧会でまとめて見たい気もする。でもこういう絵に1時間ないし2時間、気合を入れて対峙するとなると大変な画家かもしれません。きれいな絵の中にスパイス的に何枚か見るからいいのかも。
今回のお題はフォービスム。面白かった。
知っているようで全然知らなかったフォービスム、これを機会にちょっとかじることが出来ました!……まあ現代絵画はあまり好きじゃないけど(汗)、そういっているとずっと知らないままだし、知らないと愛せないですしね。
いろいろ食わず嫌いなamairoですが、ゾーンを広げていきたいと思います!
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