大好きな美術館&博物館

◎みんな大好き!大英博物館。

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ロンドンと言えば!大英博物館!

ロンドンには数々の巨大ミュージアムがあり、目ぼしいところを回るだけで4日も5日もかかるような、ミュージアムのparadiseですが、その筆頭に挙げられるのはやはり大英博物館。ロンドンに行ったら必ず行きますよね!

 

大英博物館は入場無料。太っ腹。

なんと天下の大英博物館は入場無料です。ええっ!あんなに展示品が充実していて、一日中でも遊べるところなのに?

ここらへんが大英帝国の栄光という部分なのでしょうか。実はロンドンのミュージアムは入場料が無料のところが多いです。大英博物館はあっちこっちから分捕って来た展示品が多いから、無料で展示する義務を感じているのかもしれません。本来の持ち主である国(ギリシャとかエジプトとか)から返還要求がなされている展示物も多々あり、この辺は難しいところです。

しかしイギリス経済も厳しい昨今、近年は寄付のアピールがだいぶ強くなってきました。気がむいたらなんぼか寄付してやってください。保存・修復に莫大な費用がかかるんです。……っておまえは誰やねん。

 

 

アプローチが立派。わくわくしますね。

古代ギリシア風の建物は、古典古代の叡智を表現する形式として選ばれたもの。ちなみに正面のペディメント(三角破風)に彫刻がありますが、そのメインになっているのはイギリスの象徴的女神であるブリタニア。

 

グレート・コート。

建物に入ると明るい広大な空間が広がります。イギリスの著名な建築家、ノーマン・フォスターによる設計のグレートコート。前は大英図書館が入っていた部分ですよね。古色蒼然とした大英図書館があんなにモダンな空間になるなんて!……古物好きのわたしはこのきらきら感に反感を覚えたものですが(笑)、今はまあまあ気に入ってます。

 

 

真ん中の白い筒型のところに、企画展をやるコーナーとレストランが入っているはず……です。企画展は有料。企画展によると思いますが、全体的にちょっと高かったんじゃないかなあ。2000円弱とか。

その周りの空間にはミュージアムショップとカフェがあります。このカフェ、かなりオープンな感じで(ある意味片隅感。笑)意外に空いているイメージがあります。ここでレモンパイを食べました。日本でメレンゲがさくっとしたレモンパイってなかなか行きあたらないのでうれしかったー。

 

必見、厳選3点。

見どころを挙げようと思えば10も20も挙げられるはずですが、オリエンテーリングじゃないんですから、わざわざ行って「見た」と10個チェックマークをつけてくるだけでは意味がない。美術館・博物館について、事前に展示物の下調べをしていくと、単なる確認作業に終わりがちなんですよねー。ちょっと矛盾があるようだが。この辺りのことは後日、別に書きます。

ただ、せっかく大英博物館まで行ってこれを見なかったらあまりにももったいない!と思うものがあるのも事実。なので、個人的な必見ものを3つ挙げます。もし滞在時間が1時間しか取れない場合でも、この3点は必ず見て来て下さい。

なお、大英博物館の館内図はこちら。(英語)

エルギン・マーブル。

これは昔の呼び方で、今はパルテノン・マーブルと言ったりするらしい。エルギン卿が在オスマン帝国大使だった時代にパルテノン神殿から略奪した大理石彫刻群。

 

 

写真のこれだけではなく、十数体の彫刻・数十枚のレリーフがずらりと展示され、広い展示室自体もパルテノン神殿の大きさに合わせて作られたというから、大英博物館でも至宝中の至宝といえます。

この衣のひだの表現が繊細で美しい。風に吹かれる肉体の存在感。頭部がないことでかえってその柔らかさがよくわかる気がします。この彫刻群の中にある「セレネの馬」と呼ばれる写実的な馬の頭部彫刻も必見。

しかし当時、ギリシャ彫刻はほとんど彩色され、今のイメージのように真っ白ではなかったそうです。だが経年変化によりほとんどの彫刻が白くなっている。特にこのエルギン・マーブルは、真っ白にするために相当強力なクリーニングを行ない、そのために表面を傷つけたことが非難されている様子。

でももう、ギリシャ彫刻は完全に「白」のイメージだよなあ……。日本の仏像の名品が、ほぼ黒くなり、その渋さが見慣れた状態になっているように。仏像も昔は肌色を塗られて衣装は極彩色というものが多かったそうですから、残っているものだけのイメージになってしまうのは、困るけれども仕方がない気もする。ただ、極彩色だったことを知り、それを想像してみるのは必要な作業でしょうね。

でも極彩色のパルテノン神殿を想像するのはなかなか難しいのですが。

 

アッシリアの人面有翼雄牛像。

アッシリアのニムルドのアッシュールナツィルパル2世の王宮を飾っていた彫刻。かなりでかいです。迫力がある。これも昔は彩色されていたそうです。

ここは足の力感が見どころでしょうか。そうそう、これは実は脚が5本で表現されています。横から見た時には動きのある4本、正面から見た時にはきちんとそろえた前足2本が見えるように工夫した造型だそうです。面白い。しかし一番多く人が見るだろう斜めから見ると、5本脚になるというこの矛盾。

アッシリアというのは、聞いたことはあるけれどもよく知らない文明。中東もいろいろな国の盛衰があり、なかなかややこしいところですが面白そうだなー。行ってもみたいけれど、行くのが難しそうな国も多そうです。

あ、アッシリアといえば、近くの部屋にあるレリーフ群も好きです。

 

 

意外に繊細。細長いギャラリーですが太陽光が入る作りになっていて、太陽光で見るレリーフは生き生きしています。ライオンのレリーフもすてき。晴れた日には気持ちがいいところです。

 

ラムセス2世像。

ツタンカーメン王墓を発見したハワード・カーターもイギリス人ですし、イギリスではエジプト文明の人気が高いようです。いや、まあ、どこでも人気があると思うけど。日本でも、フランスでも。

 

 

なので、大英博物館のエジプトコーナーはかなり充実しています。スペースとしてはエルギン・マーブルにもひけを取りません。このエジプトコーナーも面白い展示品がずらりと並びます。出来れば端から端までじっくり見たいところです。

その中で目を惹くのはラムセス2世像。とにかく大きいですからね。展示室の中で一番目立つんじゃないでしょうか。冠部分が大きく欠けているのは残念なところですが、幸い顔の部分の損傷はほぼありません。ラムセス2世はなんだかとてもスゴイ人だったようですが、こうやって見てるとちょっとカワイイですよね。

エジプト美術で注目して欲しいのはその写実性。理想化されている部分もないことはないと思いますが、基本的に神様に認めてもらう(そしてご利益を得る)ということが大事だったので、全然誰が誰だかわからない、ということはないはずです。

2階にも別にエジプトコーナーがあり、こちらにはミイラや絵画など、1階よりは少し小粒なものが展示されていますが、絵を見ると本当に写実だなあと思います。

そして1階のエジプトコーナーには、かの有名なロゼッタ・ストーンがあります。

エジプト象形文字が解読されるカギになったという歴史的には大変な遺物ですが、……正直、モノとしては美しいとかそういう方向のものではなく。まあ字が書いてある石碑ってだけですから当たり前なのですが。これも一応見ておきましょう。

 

大英博物館の日本展示室。

厳選3点の他に、マイナーどころといいますか、大英博物館をたっぷり時間をかけて見つくすつもりの方に、個人的な推薦です。

日本美術、日本文化がどう展示されているのか気になるので、日本コーナーにも行ってみましょう。展示スペースはかなり上の方の端っこ、行くのに遠いところですが、インドや中国の展示スペースと比べて考えてみると、イギリスと日本との関係性でこのくらいのスペースを割くというのは重視しているほうだと思います。

素直な気持ちを白状すると、天下の大英博物館が日本コーナーを常設にしてくれているのはちょっと嬉しい。

物としては小粒。工芸品が主で、超一級品というわけではないです。日本国内にはもっといっぱいいいものがあるので、大英博物館を訪れる人がここを見て「日本美術ってこういうもの」と思ってしまうとしたら少々残念なレベル。でもあんまり外国に名品が流出してても困るからね。

ただ頻繁に展示品の入れ替えをしているようで、ここで写楽の浮世絵や十四代酒井田柿右衛門の八角形の大鉢を見ました。八角形の大鉢は桜の絵柄で、余白の白が利いていて、もう少し普通サイズだったら(そして金額がクリア出来たら←絶対できない)欲しい!と思うデザイン。柿右衛門にはピンクの色はないはずなのに、薄紅に見えました。

 

 

大英博物館のインド美術・中国美術・中南米美術。

インド美術は踊るシヴァ神。世界を破壊するダンスを踊ると言われています。インド神話もなかなか面白そうですね。深そうなので、とりあえず簡単な一般書を読んでみたいかな。

中国美術は唐三彩のラクダ。陶器としてはかなり大きいラクダで、これで唐三彩を覚えました。

アステカ美術のテスカトリポカ神の仮面。かなりインパクトのある造型です。ちょっとだけですがアステカ美術に触れられることがうれしい。

これらは展示室が端っこなので、時間がない時は行きにくいかと思いますが、腰を据えて回られる方にはちょっと見て欲しいものです。

 

大英博物館は何日でも。

多分大英博物館は、何日通っても見終わらないかと思います。そこでご提案なのが、大英博物館のそばにホテルを取ること。ここで「入場無料」が利いてきます!一日中ミュージアムにいたら疲れてしまって、見るにも見られない状態になりますが、何日かに分けて見るのはおすすめですよ!入場無料なので出たり入ったり自由。

たとえば、1日目は大英博物館をメインにするつもりで、1階のエジプト・アッシリア・ギリシャコーナーをじっくり見る。2日目は展示品としては全体的に小粒になりますが、その分、数が多い2階を(あんまり根をつめずに)自分の興味を惹くものだけ見るようにして回遊する。3日目は日本コーナーを少しちゃんと見て、その他見残したところを見る。

2日目と3日目は他のメインの観光地に行く前に立ち寄るのがいいかと思います。帰りに見ようとすると、疲れちゃってると思いますので。疲れている時のミュージアムほど行って無駄なもんはありません。何にも目に入らないんだもの。ロンドン観光にもっと日にちを割けるのであれば、もっと細分化しても良いですね。

 

わが愛する大英博物館について書きました!楽しんで来て下さい。Have a nice trip!



 

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