いろいろ徒然

◎国語辞典からの挑戦状。突然「停車」で2000字。

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普段聴いているラジオのコーナーに、「突然お題を出されて、その後10分間それについて喋る」というものがあります。お題はかなりランダムで、パーソナリティがその単語についてほとんど知らない場合もあり。

それを聞いていて、わたしもこの闇鍋方式をやってみることにしました。闇鍋ですから、その単語について書く前に調べることはなし。うろ覚えでもなんでもとにかく書いてしまって、2000字くらいで書き終わったら、書いたことが正しいかどうか答え合わせをする。

ただ、国語辞典の単語ってすごくシンプルなものが多いので……なかなか話を広げるのが難しい。なので、お題から話が始まれば「お題について」じゃなくても可とする、というルール。

今回5回目です。お題は国語辞典をランダムに開いて、左上に書いてある単語としているのですが、これぞ!という単語には当たらない。

この間なんかお題が「もと」ですからね。「もと」で2000字というのはかなり無理……。落語の「もと犬」のことを書けば良かったなーと思いついたのが最終盤。この時は1300字くらいでギブアップしました。

◎国語辞典からの挑戦状。突然「もと」で2000字。

 

これまでで、唯一「フォーヴィズム」がこれぞという単語だったっぽいんですが、……残念なことにわたしはフォーヴィズムのことをほとんど知らない……。印象派よりあとは全滅です。

今回の単語は「停車」。

停車:車が止まること。車を止めること。――場:列車・電車などが一時止まる場所。駅。停車場。

 

今回のお題は「停車」。よーい、どん。

停車場。とはもう言わなくなりましたね。駅。ステーション。いろいろな人が集まっては離れていく場所。さまざまな人生の交差。

ほんの少しだけ鉄子成分があるわたしは、鉄道には親近感を持っています。といっても、鉄道自体に対する興味・関心というよりは旅の一環としての鉄道。

旅をする時、わたしが一番旅情を感じるのは、駅を出る電車が動き出す瞬間かもしれません。自分の町の駅を出る時。電車が動き出した瞬間から旅が始まる。前途にあるのは今まで行ったことのない土地。これから何日か続く、至福の時間のまさに始まりです。

旅先で、その町を離れる時の電車もまた格別。「二度とここに来ることはないかもしれない」と思いながら、その土地での日々を思い返します。切なさとほの甘い感傷。ポテトチップスとチョコレートを一緒に味わっているような。

駅といって思い出すのは――ロンドンのヴィクトリア駅です。ヴィクトリア駅はロンドンの南東部行の列車が発着する駅。ロンドンには中央駅というものが存在しません。ヨーロッパの町はかなりの割合で鉄道駅が町の外れにあります。

ヨーロッパではもともと教会を中心に町が出来ていきました。日本と違って石造りなのでそうそう頻繁に建て替えることもなく、町が大きくなった後に鉄道が出来るので、町の中心には駅を建てる場所が残ってなかったのですね。むしろバスターミナルの方が町の中心にあるということはよくあります。旅する時は、鉄道で行くかバスで行くかを選ぶのも大事。

ロンドンは街が大きい分、駅もたくさんあります。中央駅がなくてどう対応しているのかというと、終着駅がたくさんあるのです。町を囲むようにぐるりと。終着駅とは一方向にしか電車が発着しない駅。終点の駅。

なので、東京と違って「東京駅でのりかえ」と簡単にはいきません。ロンドンより北の地方から南へ行きたい場合は北側の駅で降りて、地下鉄なりで移動して、南側の駅から改めて別な電車に乗るようになります。ロンドンをつっきって旅をするプランはなかなか手間がかかります。

ロンドンの駅の数は――えーと、いくつあったでしょうか。あまりよく覚えていません。北側にキングス・クロス駅とセント・パンクラス駅。西側にパディントン駅。右下……もとい、南東部にチャリング・クロス駅。ロンドンブリッジ駅。南側にヴィクトリア駅。その他にもあと1つか2つはあったと思います。

その中でわたしが最も利用したのはヴィクトリア駅でした。他の駅も1回や2回は利用したはずなのですが、あまり印象がありません。北側に行く時は長距離バスの方が便利だったのかな。それに対して南側に行く時は鉄道を利用することが多かった。

ヴィクトリア駅の構内はかなり広く、明るいです。いかにも終着駅という雰囲気。天井が高いので開放感があります。

そこに本屋やカフェ、ツーリスト・インフォメーションなど、いろいろなお店が入っています。日本と同じですね。しかしお土産屋さんはほとんどなく、日本の大きな駅のようにご当地スイーツが並んでいるということはない。

わたしはここにあった、今はあるかどうかはわからない、名前も覚えていないペストリー屋さんが好きでした。多分チェーン店だと思うんですけどねー。

ここのペストリー屋さんのたしかマッシュルームペストリー?が美味しかった。ホワイトソース味で、マッシュルームたっぷり入っていて。ヴィクトリア駅を使う時は必ず食べてました。……なつかしい味です。

ヴィクトリア駅からは、前記の通りロンドンより南へ向かう列車が出ています。カンタベリーも。ブライトンも。ドーバーも。みんなこの駅から出ます。どの町もみんないいところ。

ロンドンでは電車が駅を離れてしばらく経つと丘陵の牧草地帯が現れます。この風景が心躍るもので。「躍る」じゃないかな。「安らぐ」かな。でもその風景で「ロンドンだ!」とテンションが上がるからやっぱり躍るかな。

路線によっては森の中を通ります。あれはどこへ行った時だったか、森の中を電車で通っている時に、ブルーベルの紫の花の群落が見えました。森の中を通る電車は日本にもありますが、花畑が見られるのは珍しいのではないでしょうか。まるでおとぎ話のよう。

思わず「ここで降りて写真を撮る!」と思ったけど、……実行するためには降りて→駅から森に行き→花畑を探しまわる→また駅に戻って電車に乗る、ということになり、その一行程ごとに高いハードルが待ち受けていそうなので断念しました。降りてから、森と駅が20キロも離れているとなったら目も当てられない。まだGPS機能付きマップなどがなかった時代の話。

一日遊んでまたヴィクトリア駅に戻ると、駅はもう夕暮れです。駅を出ると、ひっきりなしに発着するロンドンの赤いバスの群れの向こうに、小さな塔が地面から立っているのが見え隠れしています。

リトル・ベン。国会議事堂に付属した世界的に有名なビッグ・ベンに対して、それに似たミニサイズの小さな塔。3メートルあるかないかでしょうか。カラーリングは本家よりも派手で、黒に金色に赤。小さい男の子がおめかしして緊張しているような――そんな雰囲気を感じます。

周りの人はリトル・ベンに特に注目するわけでもなく、忙しそうに通りすぎていきます。リトル・ベンには無関心。それでも、自分の持ち場を守ってがんばっているよ!という気がして、わたしはリトル・ベンがとても可愛い。

なつかしい記憶です。またヴィクトリア駅に行くことがあったら、(まだあれば)あのペストリー屋さんでマッシュルームペストリーを買って、前の広場にあるリトルベンを見ながら、それを食べたい。

 

答え合わせ。

以上。だいたい2300字くらいですね。

では、答え合わせをしていきましょう!といっても、今回の内容だと検証が必要な部分はあまりないかも。

ポテトとチョコの組合せ。

ロイズのポテトチップチョコレートが有名でわたしも何度かいただいたことがあるのですが、食べておいしくても、どうもこの組合せに頭がついていかない……。

ポテトチップスとチョコレートですよ?

でもそんなことを言ったら、ずんだを「枝豆と砂糖だよ!?」と言われちゃうなあ。ずんだ嫌いの人は「枝豆が甘いのがゆるせない」そうです。

 


ずんだ餅食切サイズ(2個入×9パック)

 

まあ味覚は基本、かなり保守的なもの。でも新しいものが身近にあり続けると、それが普通になりますよね。たしかわたしが子どもの頃は抹茶味のお菓子なんて見かけなかったような気がします。しかもクリームやミルクと合わせるなんて!

でも最近は何にでも抹茶味は進出してますし、むしろありすぎて飽きるくらいだし。

お茶と牛乳という組合せも一般化してきて、昔は考えもしなかったほうじ茶オレとか麦茶オレとか……。わたしは今は麦茶はほとんど牛乳を入れて飲むようになりました。

ロンドンの主要駅。

ヴィクトリア駅、パディントン駅、キングスクロス駅、セントパンクラス駅、チャリングクロス駅、ロンドンブリッジ駅……

ウォータールー駅を忘れてました。ユーストン駅も。それからもう一つ、リバプールストリート駅。うーん、やっぱりヴィクトリア駅の記憶が強いですね。他の駅はあまり利用してない……。

キングスクロス駅は「ハリー・ポッター」の舞台になった駅ですね。9と1/2番線の駅。それをいうならパディントン駅も「くまのパディントン」の舞台です。パディントンという名前はパディントン駅で迷子(捨て子?捨てクマ?)になっていたからつけられた名前。

 


クマのパディントン

キングスクロス駅とセントパンクラス駅、ユーストン駅はかなり近接しています。3つの駅が1キロの範囲に収まってしまうほど。特にキングスクロス駅とセントパンクラス駅なんて、地下鉄の駅を共有しているくらいですから。こうなるにあたっては、鉄道敷設時の複雑な状況があったんだろうが、どうも非効率的な気がしてならない。

……ペストリー屋さん?

検索したところ、わたしがマッシュルームペストリーを買っていたお店を発見しました!

多分「UPPER CRUST」というチェーン店。ペストリー屋さんではなく、サンドイッチ屋さんなんですね。マッシュルームペストリーしか買ってなかったから、ペストリー屋さんだと思っていた。まだあるみたいですね。

せっかく見つけたのでリンクを貼っておきましょう。

世界で100店舗以上あるんですって。日本にはないっぽい。

リトル・ベン。

Little Ben - Victoria Street - Westminster - London - 010604.jpg
By Original uploader was <a href="https://en.wikipedia.org/wiki/User:Tagishsimon" class="extiw" title="en:User:Tagishsimon">Tagishsimon</a> at <a class="external text" href="https://en.wikipedia.org">en.wikipedia</a> - - photo by &amp; copyright <a href="https://en.wikipedia.org/wiki/User:Tagishsimon" class="extiw" title="en:User:Tagishsimon">tagishsimon</a> 1st June 2004, CC BY-SA 3.0, Link

可愛い。記憶よりもずっと大きく、7、8メートルはありそうですね。もっとずっと小さいと思っていました。

フランスとイギリスの友好のために建てられたそうです。作ったのはクロイドンの時計会社。クロイドンはロンドンの南方の郊外にある市で、クロイドン行の電車はヴィクトリア駅から出ますから、この場所にあるのは納得。

こんなにかわいいのに、観光案内にはほとんど全く出て来ない!……いや、たしかにわざわざ見に行くほどではないが。でも近所を通ったら寄ってみてください。かわいいから。ミニチュア(?)の魅力。

ちなみにビッグ・ベンはこちら。

比較してそんなに似てるかというと、そうでもない……。

おまけで、石川啄木。

実をいうと「停車場」で最初に思い浮かんだのは石川啄木でした。

ふるさとの 訛なつかし
停車場の 人ごみの中に
そを聴きにゆく

この停車場は上野駅のことのようです。啄木は現在の岩手県盛岡市の人。東北本線の電車が発着する上野駅には、岩手から来た人もいたことでしょう。当時は地方ではほとんどが方言で生活していたはずですから、駅ならば岩手の人の喋る南部弁を聞く機会もあったのかもしれません。

石川啄木の短歌は大変しんみりした地道なものが多いのですが、どうもご本人はなかなかに八方破れの人だったらしい。短歌を読んで「こんな人なんだろうなあ」と想像するのとはかなり違う。

しかし亡くなったのが26歳で、その間に学校を退学し、上京しては盛岡に戻り、結婚し、北海道で就職し、また盛岡に戻り、上京し、詩集を出し歌集を出し……とやっているのだから、波乱万丈の人生。

出身の渋民村の渋民公園に行ったことがあります。そこからは岩手山が美しく見えました。

かにかくに渋民村は恋しかり
おもひでの山
おもひでの川

 

突然「停車」で2000字。

今回はまあまあ手ごたえあり。70点くらいつけたい。
まあやっぱりある程度、情緒のある単語の方は書きやすいです。「もと」とか「ダウン」とか、情緒的な単語とはとても言えない。

では、また。

 

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