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◎春開く濃い紅色。秋保の名桜「秋保足軽紅重(あしがるべにがさね)」。

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河北新報に秋保に「秋保足軽紅重」という桜があると載った翌日、脊髄反射のようにそこを訪れることになりました。場所は秋保大滝よりもさらに奥、野尻地区というところです。秋保大滝との位置関係でごらんください。

住所:仙台市太白区秋保町馬場字野尻町北25-2

秋保大滝から車で5分くらい。道路は二口峠に向かって一本道で、迷いようがないですね。桜自体は道路から少し入ったところにあるので、カーナビでたどり着くか、野尻交流カフェ「ばんどころ」の看板を目印にしてください。「ばんどころ」の目の前の広場にあります。花の時期は看板も出ていて見逃すことはないと思います。

 

「秋保足軽紅重」とはなんぞや?

秋保足軽紅重とは桜の名前です。聞いた時には桜の名に「足軽」とはなにゆえ?と思いました。桜の名前は「荘川桜」など地名由来のものがほとんど、その他に「滝桜」のように桜の特徴由来がたまに、というものだと思います。なのに……足軽。

この「足軽」は一種の地名由来。

この桜は新種だそうです。令和2年に新種であることが認められ、地元の方たちから桜の名前を公募。そこで、桜のある場所が足軽組頭の居宅だったことから「足軽」に決定。さらにこの桜の特徴である花びらの多さ(桜は通常五弁。この桜は六、七弁の花が混じる)と色の濃さから「紅重」。これは「べにがさね」と読むそうです。よく考えられた名前。愛情が感じられます。

ただ個人的な感想では、……長くて覚えにくいので足軽桜と呼ぶことにしたい。

 

(車での)アクセス良好。

何がなんだかわからないまま行ったので(秋保足軽紅重という桜を見に行く、としか知らなかった)、どこにあるのかどんなところなのかは未知数。秋保大滝から道路をさらに西に行くと、右側にたんぼ(そば畑?)の中にピザ屋さんがあり、集落に入り、小さな個人商店があり、その先で看板が出てきます。わかりやすい。

細い道を右折すると(私道のような雰囲気ですが)誘導員さんも出ていて安心。駐車場は30台前後でしょうか。石灰で線も引かれていてきちんと並べて駐車出来ます。わたしが行った時は賑わっていたけど混んでもいないという理想的な人出だったため、駐車するのもストレスフリー。

 

濃い紅色。みっしりとした花の枝。

足軽桜は一本の木で、その周りに大勢の見物客が群がっていました。

奇跡的に人が少なくなった瞬間の一枚。

テレビ局のカメラも来てましたねー。4月16日は最高の日でした。でもまだ数日は見ごろだと思います。標高が高い地区なので平地の桜よりも長く楽しめそう。

実際の足軽桜はこの写真よりひとはけ紅が濃い感じです。紅梅のような色ではなく、少し青みのあるとろりと甘い紅。

 

 

これは多少いい写真なのではないでしょうか……!何がいいかと言って、光の加減が。
この写真の30秒前に撮ったのがこれです。

 

この時はまだ曇っていたんです。2枚目を撮ろうと思ってフレーミングをしていた時に光が差して来てみるみる桜が美しく輝く。「おー、来た来たー!」と(リアルに)独り言を言ってしまいました(汗)。

この一輪にご注目ください。

 

これ多弁ですよね?花びらが5枚以上ある。
八重桜でもなく、5枚花びらが多々ある中に6枚以上の花が時々混ざっている、それがこの桜の特徴らしいです。花が多すぎてなかなか多弁の花を探す根性が出せないのですが、たまたま撮れて良かった。

なおこの桜の隣にはイチイの木が対として生えています。この桜とイチイの並びが素敵。桜の紅色とイチイの緑の対比ですね。雛飾りの左近の桜、右近の橘のよう。イチイは常緑針葉樹で、目の端で見ていた時は松だと思った。よくよく見てみたら松ではなかったので、何かと思ったらイチイの木だそう。

イチイは漢字で一位と書く、位の高さを表す木と言われています。何と別名アララギ。アララギってのはあれですよ、斎藤茂吉が主宰した短歌雑誌の名前です。イチイとアララギって同じ木だったんですねえ。

 

地元の方と世間話をしました。

花の時期に合わせて地元の町内会の方が「2022秋保足軽紅重さくらフェア」という桜祭りを開催されていました。テントを張り、秋保のパンフレットをくれたり飲食物を売ったり。こじんまりした催しで物なれなさが手作り感を増す。地元の小さなお祭り。

わたしは自分が知らなかっただけでずっと続いてきたのかと思っていたのですが、今年から、地域の高齢化に対して「何でもやってみよう」チャレンジとして始めた催しだそう。

昔は現行の桜の親樹で、かなり大きく育ったものが咲いていたそうです。しかし樹も老い、親樹は2、30年前に枯れてしまったとか。でもちょうど交代するタイミングで根元から子が育ち、今はきれいな花を咲かせるようになった。歴史ある桜にしては小さいなと思ったのですが、そういう世代交代があったのですね。

桜は実生で増やすのが難しい植物らしい。


桜のいのち庭のこころ (ちくま文庫) [ 佐野藤右衛門 ]

今の桜が若いうちに、出来れば他にも若木を育てられればいいですね。簡単なことではありませんけれど。挿し木で増やすのも簡単ではなく、病気にも弱いそうです。せっかく発見された新種ですからこの世から消えてしまってはもったいない。近場に秋保大滝植物園もありますし、協力して増やす努力をしていくのが大切だと思います。育つまで何年もかかるものですから。

 

足軽桜のある場所は、先に触れたように足軽組頭のお屋敷があったところ。この野尻地区には、野尻御番所といって仙台藩の二口峠の出入りを固める関所があって、その守りを任された二十二戸が足軽として仕えていたとのこと。

組頭のお屋敷は過去にはもっと広い敷地で、そこに植えられた桜はこの場所が野尻分校になったあとにも校庭に残され、毎年花を咲かせていました。「昔はここで運動会もやって……」という言葉につられて周りを見まわしてみると、今はだいぶ狭く感じる敷地になったけれども、当時の老若男女のはしゃいだ姿が感じられます。わたしは運動会が嫌いな子どもでしたが、赤白に分けられた帽子や子どもの歓声をなつかしく思い出しました。

飲食テントもありました。出店というほど派手ではないささやかなもの。食べ物は今年は玉こんにゃく、甘酒が各100円。焙煎コーヒーと缶ジュース。そして地元の名物であるねっけ揚げが1パック300円。ねっけ揚げというのは名物であるそばで作ったそばがきを揚げたもので、見たところは鶏唐揚げとそっくり。食感も柔らかい鶏唐揚げに似て、えごまを使ったタレが美味しい。わたしは甘酒とねっけ揚げをいただきました。

こうした催しもやはり赤字で、交代で係をしなければならないのもなかなか大変ですとのこと。しかし「野尻いぐする会」(いぐする=良くする)の皆さんは楽しそうにお接待してくださいました。その中に小学生くらいの男の子がいて活躍しており、未来の野尻を背負う子なんだなーと頼もしく見ました。

 

雪のあとに咲く紅色の桜。

野尻地区は標高が高いので冬の間の雪は相当なものだそうです。仙台は北国のわりに雪が少ないとはよくいうところですが、やはり平野と山では違う。

冬の間雪に埋もれて、春の光のなかでようやく開く桜。見慣れたソメイヨシノ、時々見かける山桜、しだれ桜。いろいろあるなかに「秋保足軽紅重」も加わります。今後も末永く美しく咲いて欲しいですね。来年も見に行きたい。桜祭りも出来れば続けて欲しい。そばの花の時期も、桜の紅葉も美しいそうですよ!

 

足軽桜のそばには「ばんどころ」という、公民館を流用した交流カフェがあります。さくらフェアの時は休業でしたが、今年度は5月7日から12月11日までの土日営業予定とのことで、秋保の名産であるそばが食べられます。数量限定。そば好きの方はぜひ。

他のメニューははっと汁、ねっけ揚げ、野尻オリジナルコーヒー……そして謎なのがじゅうねん生チョコレート。飲み物ですか?じゅうねんって十年?揉捻?謎は深まります。

※なお、桜を見る人は1人100円(2022年)の協力金を求められます。それ以上の協力金はお志で。

 

 

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