仙台あちこち

ついに行ってしまった仙台大観音。思ったよりも……

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以前にこの本の話をしました。


晴れた日は巨大仏を見に (幻冬舎文庫) [ 宮田珠己 ]

この本はわたしの好きな、ヘンなエッセイストの宮田珠己が
日本全国のマヌ景(マヌケな風景)を求めて、主に巨大仏巡りをした本です。

巨大仏といえば!仙台にはアレがあります。

実は仙台大観音は、宮田珠己が全国12ヶ所行った巨大仏の中でマヌ景の第一位です。
何事も一番というのはめでたい。たとえそれがマヌ景であろうとも。

地元民は意識の外に逃がすように逃がすようにして暮らしているので、
実際に行ったことのある人は数少ないです。
神社仏閣が好きなわたしも、今までアレを神社仏閣の範囲に入れてませんでした。

でも実際は大観密寺というお寺だそうです。
今まで長年避け続けてきましたが、今回、ついに潜入捜査(嘘)に行ってきました!

 

……怪獣が来たー!

仙台大観音が立つ地域は住宅地です。少し南には幹線道路が走り、郊外型商業施設が
びっしりと立ち並び、学校も多い場所。
そこで突然、木立の向こうからこんな風にのぞき込まれては。

宮田珠己も言っているけど、これがどう見ても怪獣なんだよなあ……。
(そもそもはみうらじゅんが巨大仏=怪獣といっていたらしい)
全く情報が無の状態で突然この情景に遭遇したら、とっさに逃げ出すレベルではないか。

ちなみにこのアングルは最寄のイオンの出口です。
買物が終わって出て来ると、のっと顔を出す観音さま。

別なアングルからの写真。

 

車が踏みつぶされそうです。若干、蜘蛛の巣に引っかかった感もあるけれども。

 

そもそもこの観音さまは、この辺りを開発した土地開発会社が隣のホテルと
同時に建てたものです。
自分が成功したのは日頃信仰していた観音さまのおかげだということで。

いつも不思議に思うのだが、同じ金をかけるにしてもなぜ巨大観音に行きつくのか。
しかも隣にホテル。巨大観音はホテルの営業に間違いなくマイナスではないのか。
ホテルとしての質に差がなければ、わたしは巨大観音があるホテルとないホテルでは、
ないホテルの方を選ぶぞ。

宮田珠己によると、全国の巨大仏はレジャーとして作られたものが多いそうですね。
昔は巨大仏がレジャーとして成り立ったんだろうか?

同じ金をかけるなら、通常の大きさで仏像彫刻としての美しさを追求して作った方が
将来の投資としては良かったのではないかと思うのですが。

まあ出来て二、三十年は今出来ということで有難味も出ないかもしれないけれども、
美しい仏像を作っておけば、今頃は名仏像として名を馳せ、
日本全国から仏男仏女の皆さまがひきもきらず集まるようになっていたかもしれない。
しかもメンテナンス料は何十分の一かで。

巨大仏を作って人集めをしたいのか、自分をここまで成功させてくれた観音様への
お礼をしたいのか、巨大仏を作るその財力を誇示したいのか、目的がわからない。
巨大仏は不可思議な存在です。

しかも作られた巨大仏自体に罪はないというか、
観音さまは観音さまで作った側の目的に関与せず独自に無垢だというか、
衆生救済のために立っている気がして、ありがたくないのにありがたい。

見ているこちらの心は千々に乱れる。

 

内部潜入。

駐車場は思ったよりも相当観音様に近づいてから、背後に回ったところに
ありました。ほぼ足元。
ほとんど参拝者がいないので何とかなりますが、この動線はどうかと思う。

足元から見るとこんな感じ。

悪くはないです、造型的には。100メートルもあることを考えれば。

手に持っているのはパチンコ玉?と揶揄されることもある宝珠。
人々の願いをかなえてくれるそうです。
お賽銭をあげて拝みます。ありがたみがあるようなないような複雑な気分。

観音さまの中へ入ってみましょう。
入口に立派な門松が飾ってあるのが気になります。はて?お寺で門松?
まあ神仏習合の国ですから、そんなには気にならないですけどね。

あとで調べたところ、滋賀県石山寺でも「門松立てたよー」というのがブログに
なっていたので、こだわりのないところは立てているのだと思います。

あ、入場する時の注意点。

〇ごっつう寒いから上着をしっかり着てね!
〇内部にトイレはないから予め外のを利用してね!

これは入場する前に何回も丁寧に書いてあります。
それでも見逃すとあとで地獄を見ます。←地獄は見ない。おおげさ。

 

1階が見どころの約半分を占めます。

入ってからの順路は、受付→1階→徒歩で2階→エレベーターで12階まであがり
→徒歩で降りて来る。という順番です。

入場料は500円。お札を頂けます。

1階は十二神将像と三十三観音の仏像のオンパレード。
仙台大観音の見どころはこの1階の仏像で約5割。心して見ましょう。

工芸品の十二神将。

意外にいい仏像なんですよね。

たしかこれが子神(毘羯羅大将)だったような……。記録するのを忘れてしまった。

こっちが一番良かったと思う仏像。迷企羅大将(めきらたいしょう)。

この十二神将像は中国製で、製作者は中國国広東省旅遊産品生産饗応公司、
ついでだから監修は中國広州美術学院工芸美術系主任 高級工芸師 曹國昌。

「中國国っていうの?」とか「旅遊は旅游では?」などと思うが、それはそれとして、
字面から想像するに、お土産用工芸品を作る企業で作られたようです。

でも工芸品にしてはなかなか良かった。
惜しいのは全体的にほんの一歩、キッチュ寄りということ。
目の扱いがなー。全体的に飛び出過ぎだ。

迷企羅大将、毘羯羅大将くらいまでだとギリギリ「迫力」の範囲内に
評価出来るんですけどね。なんでここまででとどめなかったのか。他の十将も。
ここは中国的感性と日本的感性の違いなのか。

材質は花梨と書いてあって、花梨の材で仏像というのはあまり見ない。
今出来の仏像でもこういう色に塗ると新しさが目立たないな。
今出来の日本の仏像彫刻は、素木か、べったり極彩色を塗っちゃうか、金に塗るかで
極端な気がするんですが、それなりに塗るという選択肢はないものでしょうか。

ちなみに花梨と花梨は違うものだそうです。
……花梨にはマメ科の花梨とバラ科の花梨があって、名前は全く同じだけれども
存在としては別物だそう。ここで使われているのはマメ科の花梨の材。
バラ科の花梨の方がいわゆる花梨で、のど飴に使われたりしてますね。
知らなかった。

ところで十二神将像の決定版といえば、奈良新薬師寺の十二神将像。

12 Heavenly Generals ShinYakushiji.JPG
小川晴暘(1894-1960) 仏像写真家 飛鳥園創業者) - 上代の彫刻,朝日新聞社, パブリック・ドメイン, リンクによる

あまり大きな像ではないですが、美仏です。
写真自体はかなり昔に撮られたもの。
製作年代は確定してはおらず、しかし天平年間という意見が主流だそうです。

適度に華やかな三十三観音。

こちらは三十三観音。

特に説明がなかったのでどこの誰が作ったものかわかりませんでしたが、
彩色が上品で良いと思いました。適度に華やかで。
顔も感じのいいお顔。丁寧な仕事に見えます。

今出来の仏像に対する偏見を乗り越えて。
この十二神将と三十三観音はちょっと見てもいいかなというブツでした。

タイムカプセルもありました。

1階の奥の方には俊工時の1991年(平成3年)に埋めたタイムカプセルを
2011年に掘り出して、その内容を展示しています。

けっこう量があったのですが、フォーカスとかフライデーとか、中小企業白書とか
ハローページ・タウンページとか紙物が多かった。
こういうのは図書館が保管してくれてるから特にカプセルに入れる必要は……

どん兵衛は今でも普通に売ってるし、20年経ってもあまり「うわ~」とは思わない。

ちょっと面白かったのは日産SERENAのパンフレットですかね。
当時は発表されたばかりの車だったようです。
20年前は出来る限りスタイリッシュに作られたのであろうパンフレットが、
適度に時代がついていてちょっと良かった。
手に取って見られるわけではないですが。

 

2階からエレベーターで12階へ。

2階は何人かが座れる休憩スペースと、これ。

ついに来たか!というキッチュ。
キッチュ度合いを5段階評価すれば5。
わたしは内部が全部こんな感じかと思っていましたが、キッチュはほぼここだけ。

しかしこれ、門として通ったはいいけどどこに出られるというものでもなく……
一応向こう側のドアを開けるようになっていると思うのですが、
施錠中という札がかかっているため、ドアは閉まったまま、
門と言えるのかどうなのか謎の物体。

12階は御心殿。

意外にこれも普通の範囲。ちょっとキラキラ寄りですが。
その隣にある等身大近い「おさわり布袋さん」もうっすらキッチュだが、
あくまでうっすらでそこまでB級感がない。

見どころの一つであろう、12階からの眺望。
とはいえ、小さな窓が何ヶ所かに開いているだけで、展望室というほどでありません。
手前はさっきのイオン。

 

最大の見どころ。

仙台大観音で一番の見どころといえばこれかもしれません。

うーん、これは、なんかすごいねえ。SF的。

百八胎内仏といって、11階から3階まで百八つの仏像を礼拝していく形式になってます。
各階には12体ずつの小さな仏さま。(如来と菩薩と明王と天部)
歩いて降りながら「これを百八つ、一体一体拝んでいったら修行になるだろうな」と
思いました。

仏像はちょっとつたなさがあるものの、感じのいい造型。

白い大理石といい色合いの棚(仏像を設置する棚)とちょうどいい光量の
ライトアップで、周囲は暗いものの不気味感は全くありません。
(お子さんにとっては保証の限りではありません……)
廊下などにも塵一つなく、手入れが行き届いている気がしました。

しかしこの11階から3階まで歩いて降りているとさすがに飽きます……。
途中からエレベーターで降りちゃおうかな?と思いました。

なにしろ暖房がないのですごく寒いんです!
そりゃ入口にあれだけ、寒いよ、寒いよ、と貼り紙をするはずだわ。
多分外より寒い。

ぐるぐる回って下りて来て、ようやく2階まで戻って来ました。
あとは1階に降りて、あっさりと外に出るだけ。
あっさりしすぎていて、最後にちょっとなんかあってもいいなと思いました。

ちなみにこの館内(というか胎内)で出会ったお客さんは一人だけ!
駐車場には6、7台の車が停まっていましたが、スタッフの人の車なんだろうか。

 

12+33+108体の仏像がお出迎えしてくれます。

仙台大観音へ行ってみた感想は、「意外に丁寧に作ってある」でした。

もっとB級感あふれるものを想像していた。
そしたら思ったよりもずっと普通で、言うたらセンスが良かった。
キッチュなものといえば登竜門だけだったですね。仏像は良かったし。
SF的光景も見られたし。適当に作っている感がなかったです。
お客さんも少ないだろうに、掃除も行き届いている感じでした。

30年近く経っているわりには外装もけっこうきれいでしたしね。
ちゃんとメンテナンスしているのでしょう。

行くのがおすすめかどうかは――うーむむむむ、微妙なところですが、
内部のSF的垂直ホールはなかなか面白いと思います。ここならではの風景かも。
わたしは行ってみてちょっと面白かったです。

しかし行くとしたら、冬は避けた方がいいです!すごく寒いから。寒かったー。
そして夏は暑いそうですよ。
あと天気がいい日がいいですね。
天気がいい日は展望窓から太平洋まで見えるそうです。

あっ!そうだ。観音さまの足元には油掛大黒天という縁結びの神様が祀られています。
油を注いで祈願する、全国でも珍しい神様だそうですので、
行かれる場合はこちらも併せてどうぞ。

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