アクリル絵具を買って、1ヶ月経って、自分にしてはなかなか勤勉に絵を描いています。
何しろ描くことにはそもそもまったく能力がないので、自分の方法が正しいのかは全然わからないですが、自分なりの道を段階的に進んでいます。
前回はいたずら描きまででした。
その後の展開。
練習のモチーフを段階的に進めていく。
いたずら描きと並行して、少しずつモチーフを描いてみました。
その頃、お手本にした本はこれ。
アルウィンのアクリル画入門 (Learn to Paint)
これはほんとに最初の最初、絵を描き始め、という段階の人向けの本だった気がします。つまりわたし向け。絵自体も好きな方だったので、短い間だったけれどしばらくこの本を手本にしました。
》立方体=サイコロ型
この本にしたがって、まず立方体を描きました。正六面体、つまりサイコロの形です。
これで立体感をつかむということらしい。
好きな大きさ、好きな角度で立方体を描く。あまりに小さいと色が塗りにくいので適度な大きさで。
同系色の色を3色用意して、一番明るい色を上に、中間の明るさの色を側面に、一番暗い色を手前に塗る。(サイコロの向こう側から光が当たっている設定)
こんなん、言われなくても分かるよ。とは思いますが、頭で理解することと実際にやってみることの間には大いなる断絶がある。体験は積み重なる。頭で考えていて何度も考えた末に思考が進化する可能性はあるけれども、体験=実績の積み重なり方とは違う。
サイコロを飽きるまで描きました。下描きは基本しなかったけれど、四角を描くのは思ったよりも難しかった。筆の使い方が下手なせいで、なかなかはじっこがうまく角ばらないんですよね。45度から見たサイコロ(=六角形になる)がほとんど円形になり、紙風船のように見えたことも何度もありました。
同系色の3色を選ぶのもけっこう正解が難しいんですよね。何しろわたしが買ったアクリル絵具は63色セットなので、3色なんてよりどりみどり。だが数の多さが仇となって、色合いの組合せが難しい。緑系なんか12色ありますが、緑もいろいろ系統があって、下手に組み合わせるとちぐはぐになる。
》レンガ
その次は、上記の本に従ってレンガを描きました。……なんでレンガ?
日本人にはなじみがないけれども、この本を描いた画家はイギリス人なので、馴染みのある直方体としてレンガが身近なのかもしれない。中がえぐられてるレンガでした。
理論的にはサイコロと同じなんだけれども、サイコロが一つの面を一色で塗っていたのに対して、レンガは同じ面にも陰影をつけることになっている。本を見ながらなんとなく影をつけてみました。まあそんなに簡単に上手くはいかない。
薄く塗ってちょっとずつ濃くするというパターンを採るべきだと、今になってみればわかるけれども、わたしは一度で塗ってぴったり収めようとするから、濃すぎる色を塗ってしまう失敗に陥る。
あと背景の塗り方も今でもよくわからないんですよねー。斜めを塗る時ってどうやって塗るべきなんだろうか。何度も何度も塗って筆跡を消すのが正解?でも水彩的に描く時はどうしても筆跡残るよね?まあ完全に練習だから斜めと横を適当に塗って変になったが。
》本
レンガの次の課題は「本」でした。直方体を基本として、表紙の厚みとか本体のカーブとかを描いてみろということだと思う。これも濃淡が上手くいかず……。どうやらわたしはぺたぺたぺた、と三度くらい塗って完成としたい雑な人間らしく、ちゃんと絵を描く人はこんな習作でも多分もっと時間をかけているんですよね。
「りんご」がおすすめです。
》りんご
本によると次のモチーフはりんご。
実はアクリルで描くより前に、雑記帳に、以前から持っていた色鉛筆でりんごを描いてみたんですよね。最初、何も見ないまま描いてみました。我流で陰影をつけてみて、それはそれで自分としてはまあまあだったのですが、おそらく絵を描ける人がこれを見たら愕然とするレベルだと思います。
その次にyoutubeで「りんごの描き方」を見た上で描いてみました。前日に最初のりんごを描き、次の日、次のページに描いたりんごが……
劇的に変わっていた!
生まれて初めて、ちゃんと「りんご」に見える!可愛く描けてる!思わず涙ぐんだ。絵が描けた!
それから何日もかけて7、8個のりんごを描きました。色鉛筆で計3個、アクリルで4個かなあ。色鉛筆の3個目なんて、10センチのサイズでりんごを描くのに2時間半くらいかかった。
色鉛筆は何度も何度もいろんな色を(そして同じ色も)塗り重ねて使うものなんですね。わたしは小学校の時の塗り絵からまったく進歩していないので、1色は1回で塗り終わるものだと思っていました。
アクリルの1個目はテキスト本を見ながら。2個目は青りんごを、youtubeの塗り方を参考にしながら。どちらも出来上がった時には失敗作と感じたものですが、そのあと遠くから、何日も眺めていると、脳内補正が出来て「まあまあじゃん」と感じて来ました。特に青りんごは最終的には眺めて気分のあがる絵になった。
アクリルの3個目は余った絵具を消費するためにちっちゃいりんごを描きました。すると思いのほか、カスカスのかすれた絵具がいい味を出してかわいいりんごになった。絵本に出て来そうなりんご。偶然の産物で、もう一度描けと言われても不可能ですが、このりんごも自信になった。
りんごはとにかく丸ですからね。形の方にはあまり気を使わなくていい。色使いの練習をするのにぴったり。りんごを何度も描くのがおすすめ。
その後、桃とぶどうを描きました。桃は3回くらい描いたかな?水彩色鉛筆で2回、アクリルで1回。ぶどうは水彩色鉛筆で1回。桃の1回目の水彩色鉛筆は上手く行きました。ぶどうは最初、描くつもりじゃなかったんですけど、丸を2つ描いたらぶどうになりそうだったので、そのままぶどうになりました。うーん、陰影が上手くつけられないなあ。どこに光が当たってないのかとか、よくわからないんだもの。
あ、あとイチゴを2個半。半というのは半分の断面を描いてみたからです。しかし記憶だけで描いたので「それっぽいもの」程度にとどまった。まあそれはそれで良し。
》チューリップ
果物をいくつか描いたので、今度は別なものを描きたくなりました。本ではりんごの次のモチーフはバナナで、バナナも描こうと思っていたのですが、結局描かなかったな。
花を描きたい!
わたしが描きたいと思っているのは基本的に花と風景画。何しろ色がきれいじゃないですか。いつか思い通りに花が描けるようになったら(来るかどうかもわからない遠い遠い未来の話)、いつでも好きな時に好きな花を飾れる。
花と言ってもいろいろありますが、結局花で最初に描くべきはチューリップではないかと思います。何しろ形がシンプルだし。といって今まで4回くらい描いたなかで「出来た!」と思ったものはないのですが。
でもどこかで(どれかの本で著者の画家が)言っていたけど、チューリップは写実的に描くのも、さっさっさっと筆を走らせるだけのもアリだから、どんな描き方でも気軽に描いてみるといいって。その言葉に誘われてわたしもさっさっさっと3分くらいで描いてみたら、けっこうチューリップに見えて気に入りました。
チューリップはいろいろな形や色のものがあるから楽しいですよね。写実的なチューリップはまだ全然描けないけど、思い出した頃にまた描いてみようと思います。
実は、チューリップの前に描いて最初に成功した花は、水彩色鉛筆で描いた桜でした。
これは人生で初めて描けた美しい絵。これにも自分で感動しました。桜はもう少し描きたかったけど、最初の一枚がうまく行き過ぎて、上書きするのがコワくなった。なんたるヘタレ。それにアクリルで描くのは難しそうな気がしたんですよね。これもいずれ挑戦してみます。
その他に、マーガレット的な花もそこそこ形が取りやすく初心者向きです。まあわたしが描くとマーガレットかガーベラかミヤコワスレか今一つ判然としないんですが。
藤も3回くらい描いて、少しずつマシにはなっていったけど、これはなかなか難しいです。梅も描いた。尾形光琳の「紅白梅図屏風」を若干イメージしたけど、3歳児くらいが描いた「紅白梅図屏風」になった。
花が描けるようになりたいなあ。
》木
1ヶ月ほど経った頃、ついに!木の練習を始めました。
木は風景画を描くには避けて通れないもの。でも動画を見ると、みんなちょっちょっと描いて立派な木になっているので、わたしもちょちょっと描けるものだと思っていました。
絵を描く皆さんが木を描く時に多く使ってる筆で、「ファン」という形の筆があるんですよね。ファンは扇という意味で、その名の通り扇形。
名村大成堂(Namurataiseidou) 油彩筆 FAN ブタ 4号
(これは豚毛で固いものです。)
これさえあれば!と思っていた。購入したアクリルセットには10本の筆もついており、その中にはファンもあったので、大いなる期待を持って木を描いてみました。
……おかしい。全然木にならない。
ファンを使っても真横に点々の線が描けるだけで、全然木に見えない。ファン自体、思ったよりも毛がまばら。これは筆が悪いのかもしれないと思い、それより固い豚毛の筆を買ってもみたのですが、描けない。
木はもう20回以上練習しましたねー。youtubeを克明に見ながら描くことはあまりないのですが、木は見ながらやりました。しかしなかなか納得出来る木が描けない。もちろんわたしのハードルはごくごく低いですよ?完璧を目指して「納得が出来ない」と言ってるわけではない。
それでも、練習するうちに3センチくらいの針葉樹は描けるようになりました。8センチくらいの雪が積もった針葉樹もだいたい描けるといっていい。だが広葉樹が……20センチくらいのものは2作くらいぎりぎり成功、というものがあるけど、それ以下のサイズになると今一つ決まらない。難しいねえ。
木はもっともっと精進が必要。筆もいろいろ使ってみなあかん。目下3センチの針葉樹は平筆の6号でしかかけません。20センチの広葉樹はボサボサの筆でしか描けません。
そして1ヶ月が経って。
半月を過ぎたくらいから、モチーフを練習するのと並行して、一枚絵も描いてみています。一枚絵といってもサイズは小さく、B6の大きさ。使っている紙は、
セリアの「1枚ずつきれいに切り離せる SKETCH BOOK 厚口タイプ」と、
(たしかダイソーで買った)黒の画用紙を4分の1に切ったもの
を主に使ってます。このくらいのサイズだと塗る面積も狭く、構図もシンプルで済むので初心者には向いてる気がする。でも大きい絵を描くのが好きな人もいると思うので、向き不向きがある。黒の画用紙は、背景を黒にしたい時にいちいち全面を塗るのが面倒で、最初から黒い紙に描けばいいんじゃない?と思ってやってみたもの。大成功でした。黒の紙、楽。ろうそくや月を描くのにぴったり。
今まで描いた主なもの。
水彩色鉛筆で桜の枝。
金地に梅の木。
夜の海と空の青いグラデーション。(youtubeを参考に)
3分で描いた赤いチューリップ。
水彩色鉛筆でチューリップとラベンダー。
マーガレット3輪。(youtubeを参考に)
水彩色鉛筆12色で風船みたいなシンプルな花。
チューリップ2輪。
紫とピンクのグラデーションで夕暮れ、シルエットで針葉樹とススキ。
緑の花瓶に生けたピンクのバラ。
広葉樹(黄緑から深緑へという描き方)
広葉樹(深緑から黄緑へという描き方)
紫のグラデーションで月夜の海と星。(youtubeを参考に)
ろうそく。(youtubeを参考に)
志賀高原のワタスゲ?の風景。(絵はがきを参考に)
青い夜空を背景にした雪原の針葉樹。
昔、尾瀬で撮った写真の池の風景。
月。
モネの「睡蓮」のマネ。(言いたいだけ)
ピンクの花が咲く草原。
――けっこう描いてますね。自分が描けそうなものを選んで描いています。
まず背景だけを塗って、主体を翌日や翌々日に描くなどもやります。背景は乾かすのに時間がかかるから。まだ全然出来るようにはなってませんが、グラデーションはアクリルの醍醐味ですからね。
何しろヘタクソなわたしだから、何が描いてあるかわかればうれしい、という大変ハードルが低い状態です。なので、1枚のうちに何か1つでも上手くいったらうれしい。自分が描いた絵は我が子も同然ですから、眺めていて満足感があります。
それでも第3グループ(時系列順に)くらいになるとちょっと絵になって来たかな?三歩進んで二歩下がるという状態ながら、2か月前はドラえもんも描けなかったんだから、進歩してうれしい。
楽しく絵を描く。
初めて絵を描くにあたって「面倒なことはしない」と決めていました。やりたいことをやりたいようにやって楽しければいいんじゃないかと。わたしがやりたいのは色と遊ぶことなので、絵が上手くなりたいのとはちょっと違う。きれいな色のきれいな絵が出来ればそれでいいんです。
なので、絵を勉強する時に必須である(とされる)デッサンはまったくしていません。……いや、普通に絵が上手くなりたい人はデッサンの練習もした方がいいと思うよ。でも「デッサンして勉強しなきゃ」と思っていやいややって結局描かなくなるよりは、いたずら書きから始めてもいいんじゃないかなあ。デッサンが楽しければいいけど、わたしは特に楽しくない。いつかやりたい気分になったらやりましょう。
アクリル絵具を買ってから2ヶ月、本人としてはいい感じで来ています。絵を描くなんて全く縁がないと思っていたけど、結構手軽だし、道具も贅沢を言わなければ2000円くらいから始められるし、コスパのいい趣味だなと。あとはいつ飽きるかですけどねー。飽きないといいな。
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