いろいろ徒然

◎星の名前。冬の星座とギリシャ神話、その2。

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冬はオリオン座の他にも目立つ星座があります。星座?星座じゃないですね。星の連なり。

 

冬の大三角。

春と夏と冬には大三角があり、秋には大四辺形があります。明るい星を繋いで作るので、全部わかりやすい。

冬の大三角はその中でもわかりやすいものです。オリオン座のベテルギウスを見つけたら――

◎星の名前。冬の星座とギリシャ神話、その1。

オリオン座へ向かって左下を探してください。ものすごく明るい白い星があると思います。それがおおいぬ座のシリウス。

一等星の中でも一番明るい恒星で、地球からの距離も比較的に近い。非常に目立つため、エジプトでもこの星を基準に農作業をスタートさせたそうです。それだけ目立つ星ならば、おおいぬ座という特に神話もないような星座にしないで、もっと神話的に華々しい星座を作ってやれば良かったのに……と昔の人にいいたい。

ベテルギウスとシリウスを線で繋いで、それとおおよそ正三角形になる位置を探すとそこに明るい星があります。これがこいぬ座のプロキオンで、ベテルギウス、シリウスとともに冬の大三角形を形成します。プロキオンも1等星ですが、さすがにシリウスに比べると少し暗い印象。

 

シリウスの意味は「焼きこがすもの」「光り輝くもの」。

これはギリシャ語由来です。

ここのところ見て来た星の名前は、フォーマルハウト「魚の口」とか、ベテルギウス「巨人の肩」などというそのまんまの、即物的な意味を持つものが続きました。これらはアラビア語由来の星が多かったので、ここからアラビア語は(ひいてはアラブ人は)現実的な考え方をする人々の言語なのかもしれないという思い付きを得ます。

たった幾例かで絶対こうだと思ってしまうのは間違っていますが、「かもしれない」という仮説を見つけるとうれしい。今後この点は気に留めていくことでしょう。

なお、初耳だったのですが、シリウスのギリシャ語はエジプトの「オシリス」という神様の名前から影響を受けているという意見もあるそうです。おお。似てると思っていたのよ。オシリス神はエジプト神話の中でとても重要な神様で、死後の世界を司る王。古代エジプトは死後の世界を重視しましたから、生命を司る太陽神ラーと並んで死後の世界の神様も大事。

 

おおいぬ座、こいぬ座のギリシャ神話。

わたしはおおいぬ座、こいぬ座をオリオンに従う猟犬としてしか知らなかったのですが、もう少し中身の濃い神話もあるようです。

この大犬は鍛治の神ヘパイストスが作った神犬ラプライス。「決して獲物を逃さない」運命をもった犬でした。が、同じく「決して捕まらない」運命を持った人喰いキツネを捕まえようとして、――これは中国では「矛盾」の話ですね――双方の運命が相容れないため、ゼウスが容喙して、犬とキツネを石に変えてしまった、とのことです。

おおいぬ座に名前があるなんて知らなかったなあ。人喰いキツネの話も。ギリシャ神話は、口伝えの昔話をある時期に書き留めたものなので、有名ではない話は時代が下がってからのものが多いです。

 

アルデバラン。意味は「後に続くもの」。

オリオン座をはさんでおおいぬ座と反対側に位置するのはおうし座。おうし座の一等星、牡牛の右目にあたる明るい黄色い星がアルデバランです。

アルデバランはアラビア語由来で、意味は「後に続くもの」。何の後に続くかというと、同じおうし座のなか、右上にぼんやりと見えるプレアデス星団です。日本名はすばる。プレアデス星団の方が先に昇って来るんですね。

ちなみにプレアデスの意味は……不明です。

 

おうし座のギリシャ神話。

おうし座は大神ゼウスの化けた姿。ある日、野原でエウロパという美少女を見つけたゼウスは、警戒させないように白い牡牛の姿に化けて彼女に近づきます。美しい牡牛についエウロパがまたがると、牡牛は突然走り出し、海を越えてクレタ島まで行ってしまいます。エウロパはクレタ島でゼウスの息子たちを生みました。

……相変わらずゼウスは女好きで、こんな話ばっかりだなあ。もっとも神様は多数の神話上の人物と絡む必要性があって女好きに設定されがち。そしてわたしは昔から疑問なのですが、牡牛が美しいからといってうかうかとまたがってしまうのか?むしろ近づいて来る牡牛なんて怖いんですけど。走り出した牛から転がり落ちずに海を越えた距離まで乗って行けるのも、エウロパ、すごい牛乗り、と思いますし。

ちなみにエウロパがさまよった地方に付いた名前がヨーロッパ。日本語表記ではエウロパとヨーロッパはずいぶん違うように感じますが、スペルはEuropaで全く同じ。英語だとEuropeだけど、オランダ語、ポルトガル語だとEuropaと綴ります。日本語のヨーロッパは出島で交流のあったオランダ語、ポルトガル語から来ているんですね。

 

プレアデス星団のギリシャ神話。

プレアデスは巨人アトラスの娘である7人姉妹の名前です。彼女たちは月と狩の女神アルテミスの侍女として女神に仕えておりました。

この人数を7人とするか、6人とするかは国と時代によって違います。日本の「すばる」は別名「六連星」(ろくれんせい、じゃないよ!「むつらぼし」)と呼ばれていたので、日本人には星が6つに見えていたんですね。

この7人姉妹は狩人オリオンに追い回されて――またここにも女好きが――いました。アルテミスの恋人であるオリオンがその侍女を追い回すなんてどういうことだとも思いますが、神話ですからいろいろな伝承があり、全てが系統だったものというわけではありません。この時間軸ではアルテミスとオリオンは恋人同士ではなかったのでしょう。

7人姉妹にはそれぞれ名前もついていますが、――覚えられないので省略します。名前の入れ替わりなどもありますしね。エレクトラだけは星の輝きとして少し暗く、それは息子の死を悲しんでいるから、という神話があります。目が悪いわたしには見分けられないのですが。そういう物語があると名前も覚えられますよね。

なおエレクトラという女性名を持つ神話上の人物は他にも何人かいて、アガメムノンの娘のエレクトラの方が有名です。エレクトラ・コンプレックスの由来になったのはアガメムノンの娘の方。

 

冬の華やかな星たち。

冬は空気が澄んでいるので星が見やすいそうです。寒いからね。夜に外に出ようとはあまり思いませんけどね。でも気が向いたら5分くらいで全部の星座が確認できますので、覚悟を決めて(防寒対策をして)チャレンジするのもいいかも。ちなみに東~南の方角にかけて、街の明かりなどが反射しない開けた場所が見やすいかと思います。
といって、暗い中人気のないところで歩いてると怖い目にあうかもしれないので、安全な場所でお願いします。

冬です!冬の星座こそ全天の星空の中でも大スター!星だけに。
……寒い季節です。お体を大切に。

 

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