美術館・博物館

美術館と博物館ってどうちがう?オーディオガイドは借りるべき?

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英語だと「ミュージアム」なので一緒ですが、日本語では美術館・博物館に分かれてますね。その区別が特に重要になるという局面はほぼありませんが(←ないんかい!)、美術館と博物館の区別もつかずにボーッと生きている日本人のために、違いを一行で説明しましょう。

※ちなみに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」というのは2019年現在放映されているNHK番組「チコちゃんに叱られる!」で使われている決め台詞です。2018年流行語トップテンにも選ばれました。この番組は長寿になりそうな予感がしますが、もし5年後このブログを見て、その時番組が終了していた時のために書いておきます(笑)。

 

 

美術館と博物館の違いとは?

美術館……芸術作品。絵画・彫刻・オブジェなど。

博物館……歴史の流れを意識した作り。発掘物などが主。

……とはいえ、博物館でも美術系の特別展をガンガンやりますし、美術館の常設展に室町時代の焼き物の名品が飾られていてもちっともおかしくない。両者は混在していて、自由に行き来してます。あまりこだわる必要はありません。

ただ大雑把に言えば、博物館の方が展示品が地味です。大英博物館クラスの大物となると地味どころではないのだが、それでもそこにあるのは、基本的に遺物、出土物なので、色合いなんかは地味ですね。

単純に目に楽しいものを期待するのならば、美術館の方がおすすめです。美術館にある絵や彫刻は、それそのものだけ見ても楽しめるけど、博物館の展示物は若干の知識があった方が楽しめます。

極端な話、ロンドンに行って大英博物館に行こうかナショナルギャラリーに行こうか迷ったら、歴史に興味があるか美術に興味があるかで選んでください。いや、ロンドンに行ったらどっちも行くべきですけどね。ヴィクトリア&アルバート美術館も含めて全部。

 

美術館の見方。

普段から美術館によく行くという人も、めったに行かない、という人もいるでしょう。でもめったに行かない人も、旅先では美術館・博物館に立ち寄ることが多いですよね。そういう時、どんな見方をすればいいんだろう?と思うことはありませんか。この点について、わたしなりのご案内をしてみます。

 

 

美術館ではモノとの実際の出会いを大切にして欲しい。たとえガラスケースの中にあろうと、わたしたちがわざわざその場所に行って、それそのものを見るということは「出会い」です。そこに意味があります。写真でも映像でもなく、現実に出会うということ。

なので、まず最初にすることは「ご挨拶」です。

「初めまして」「来たよ」「どんなもんか見定めてやる」「会いたかった」……なんでもいいですから、お目当ての作品、あるいは特別展最初の展示物に(心の中で)声をかけます。そうすることでその展示物はただの展示物ではなく「初めて会った人」になります。

わたしたちは初対面の人と会った時、どんな風に心が動くでしょうか?第一印象でまずはうっすらと好悪を感じるのではないでしょうか。

絵画も同じです。まずは「第一印象」です。この絵は好きか嫌いか?お友達になれそうか?苦手なタイプか?――出来れば作者名やタイトルを見る前に、この印象を決めて欲しいです。第一印象が好きでも嫌いでもないという場合は、もうそれはそれ以上見なくてもいい。展示物が山ほどある美術館なら、さっさと次に行きましょう。相手が人間だと無視するのは失礼ですが、相手が絵だと無視しても文句はいいません。

美術館に飾ってある展示品だからといって、全てが名品だというわけでもないし、もちろん全て自分が好きな作品になるはずもない。全然自分に響かないのであれば、無理に美点を探す必要もないでしょう。

美術館の作品=名品=そうは見えないけどどこかに良さがあるはず=良さがわからない=自分に見る目がない。そう考える必要はありません。

美術館はお友達になれる作品を探しに行くところです。

 

見る距離感。

好きな作品を見つけたら、対話をしてみましょう。混んだ特別展ではなかなか難しいかとは思いますが、確保できるのなら、その作品が一番良く見える場所を探す。近づいたり下がったり。彫刻や屏風絵などでは方向も大事です。右寄りから見た方が良く見える場合、すぐそばの足元から見あげた方がいい場合。自分にとってのベストポジションを見つけて下さい。

「この作品は、このポイントから見た時が一番いい!」――ここまでくれば、もうその作品はお友達になっている筈です。

 

 

ベストポイントから見て、その作品のどこがいいのかを感じましょう。

A:色使い?線の美しさ?題材?モデルの顔?

B:構図?筆致?描かれている意味?象徴探し?

なんとなくA群とB群で分けてみましたが、別にB群の構図の良し悪しや象徴の意味がわからなくてもいいと思うんですよね。そこまで難しいことを考えなくていい。

もちろん構図がいいと思うことは自由で、たとえ専門家がなんといおうと自分がいいと思うものはいいんだ!でいい。どれを美しいと思うかに正解なんてない。正解がなければ間違いもないから、何を好きになっても嫌いになっても自由なんです。

ものとして好きなものを見ていれば、それだけで右脳は喜んでいるはずですから美術館に行った甲斐は十分あるのですが、そこにあえて「どこが好きなのか」を探して付け加えるのは、キーワード的に言語化して左脳に記憶しやすくするためです。なので、やった方はいいけれど、必須ではない行為。

 

作者名はあとで。

そこで初めて、作者名・タイトルを見るのが理想的な順番。通常は最初に作者名・タイトルを見てから現物を見る、という順番になりますが、ほんとはモノ・ファーストがいいと思います。作者名を最初に見ちゃうとどうしてもフィルターがかかってしまうから。合コンで、性格を知る前に年収を知ってしまうようなもんですね。……え?違いますか。すみません。

作者名を知って、あるいはタイトルを知って「ええっ、モネだったの!」「なんでこのタイトル?」と思うことがあると思います。そのあとで改めてその絵を別な目で見直すのも楽しいです。一粒で二度おいしいグリコ(古……)。そこからまた評価も変わったりして。そういういい加減な心の揺れも美術館の楽しみです。

美術館の楽しみには、モノそのものの良さを感じるということと、知識を得た上で面白さを考える、という二つの側面があると思います。全体的には2つとも美術館の楽しみ方なのですが、最初に知識を入れてしまうと前者の何も知らない状態で感じる部分には戻れないんですよね。なので、まずは無垢なる状態で作品と向かい合って吉。

たとえば、「初聖体拝領」という絵があります。

残念ながらリンクに飛ぶと作者名がバレてしまうのですが、わたしはこれを何もわからない状態で見て「白の衣装の質感がきれい。侍者の男の子の顔がちょっとアレで地味だが、まあまあな絵」と、ぼーっと作者名を見たら、なんとあの人だというではありませんか!その時の驚愕!

あの人が14、5歳で描いた絵のようですよ。これを15歳で描くかね!この完成度はなんなんだ!

……ひとしきり驚いて「そりゃ、こんな若い頃にこれだけ上手くなっちゃったら、そりゃ新しいもんに走るわ……」といたく納得したのでした。わたしは好みが古典なので、あの人はそもそもあまり好きではない画家なのですが、十代半ばで古典的な描き方にこれほど習熟してしまったら、その後50年、同じ絵を描き続けるわけにもいくまい。

 

 

実際のところはピカソは91歳まで生きたので、その後76年画業が続くわけです。その間に画風が変わって変わって、どんどん新しいものを追求していって……わたしはピカソの絵を「美しい」と思っては見ないほうですが、全体的に考えればピカソの画業は雄大。一人で現代絵画史のかなりの部分を背負う巨人。

この強烈なインパクトも、最初情報を容れずに一枚を見たからこそ、ですね。

 

オーディオガイドは借りるべき?

そういう観点からすると、オーディオガイドは?

わたしは「そんなに必要ではないでしょう」派です。

海外のミュージアム、そして国内の特別展などでは、よく入口でオーディオガイドを貸し出してますよね。場合によっては有名俳優さんによる録音で、それが売りになったりもするようです。

オーディオガイドを使う時の流れというのは、その展示物のところに行って、まずスイッチを入れる。音が流れて来る。その説明を聞きながら「なるほどなるほど」と確認する。そして次へ。という流れだと思います。

そうすると、モノと自分が一対一で対峙する時間というのはないですよね。

ものを観るというのは、耳をすますことに似ている。モノが何か自分に語ってくれることはないか、かすかな声も聞き洩らさないように耳をすます。でもオーディオガイドを聴いていると、そのかすかな声は聞こえてきません。せっかく現地で見ているのに、語ってくれる声を聞かないのではもったいない。

説明の確認作業として展示品を見るのではなく。

 

 

そういう形而上的な理由以外に、実際的には、オーディオガイドを聴きながら観覧しているとかなり時間がかかるというマイナス点もありますね。読むのは「ざっと読む」ということが可能でも、聞くのは「ざっと聞く」ということが出来ないので不便です。

 

オーディオガイドを借りるべき時。

ただしオーディオガイドを借りるのがおすすめの場合もあります。それは、

全然興味ない分野・知らない分野のミュージアムを見る時。

そもそも興味がないわけですから「まずモノを観る」といっても、なかなかとっかかりがないですよね。そうするといくら耳をすましても無音……。語ってくれない、超無口な人のようです。

そういう時には、第三者といいますか、他の人に紹介していただくのもいいんじゃないでしょうか。「コイツってこういうやつなんだよ」……オーディオガイドはそういった役割。なかなか饒舌に紹介してくれます。

特に博物館ですね。そこの歴史の歴史を全然知らない時は一からオーディオガイドに教えてもらう方法もありです。

でもその前に、一渡り展示室を回ってみて、何もない状態でまず展示品と目を合わせてみるというのが一番いいかもしれません。その上でもっと知識を得たいと思えば、入口に戻ってオーディオガイドを借りる。展示室からオーディオガイド貸出コーナーまで戻れるかどうかは場合によるかと思いますが、通常は戻れることが多いんじゃないかなあ。

 

美術館・博物館で大事なこと。

まずは現物との出会いを大切にして欲しいです。せっかく現物を見ているのだから、一対一で向き合う時間を持つのが大事です。

あ、そして美術館・博物館の訪問ですごく大切なことは、

体 力 温 存

です。体力が尽きていると集中が全く出来ないですから。千回に一度の運命の人とすれ違っているのに、気づかずに通り過ぎてしまう可能性があります。朝いちばんに訪れましょう。最初に行けない時には、ゆっくりお茶を飲んだりして体力を回復してから。

 

 

目に焼き付く。

みなさまと美しいものとの、良い出会いをお祈りします!

 

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