【prose】

< 人間型、以外の宇宙人。 >【prose】

更新日:

宇宙人はいるのだろうか?地球上で何億回も繰り返された問い。繰り返されすぎて、昨今では事改めて問う人もない。

いない、という可能性はあり得ない。広大な空間と時間。無限に等しい数の星。その中で太陽系地球の我々だけが唯一の知的生命体だなんてあり得ないのだ。

ただその姿となると、わたしは迷う。全ては人間型なのだろうか?それとも全く違う姿かたちの生命体があり得るのだろうか?

昔、子供の頃に読んだ本で、知的生命体が「六角形の結晶型のような」というSFがあった。意思疎通はその結晶の一部を意志によって変形させ、その形でコミュニケーションを取るというもの。ヒューマノイド型の――あるいはタコ型の宇宙人しか思いつかなかった当時のわたしは感心した。結晶型の宇宙人か。斬新だ。

文科系の頭で知的生命体に必要な機能を考えてみる。
まずは「思考」。地球生命体のような脳を持っているかは別として、機能として脳は必要だろう。何しろ「知的」生命体なのだから。

次に「手」。自分の意志を物理的な形にする機能が必要だと思われる。5本指かどうかは別として。もし別の姿があり得るなら触手のような形だろうか。しかし電波的に操るのならまだしも、物理的に扱うのであれば「掴める」機能は必須であるように思う。イソギンチャクのように無数の触手であれば掴むことも含んだ器用な作業が可能だろうか。

さらに「移動」。知的生命体が知的であるためには、外界からの何らかの刺激が必要。刺激を得るためには移動が必須ではないか。同じ場所から一歩も動かない状態では、生物として同じ刺激しか体験できない可能性が高い。

人間型以外の知的生命体を考えてみる。過去に読んだSFにありそうな――惑星規模の粘菌の塊などの存在は知的になりうるだろうか。繋がった一つの巨大な生命体。一つの意識を共有し、その全体への刺激が共通体験として知能を発達させる、というような。

簡単にいえば、「風の谷のナウシカ」に出て来る腐海や粘菌が知的に進化する可能性はあるか。

大きさがあれば多種多様な刺激が得られる可能性はある。神経系の伝達速度は1秒間に100メートル。地球という惑星サイズで考えると、端から端まで、ある情報が到達するまで55時間。緊急時、迅速な対応が求められる場合以外ならあり得ないスピードではない。膨大な情報量を処理することになるし。

……この辺でわたしの想像力は枯渇し始める。惑星規模の生命体があり得るとして、危険回避はどのような方法で行えるだろう。考えられる大きな危険は火と病。全部つながった巨大な個体の一部に火がついたら、それを何とか出来なければ死ぬ。

「何とかする」という機能が備わる可能性は十分にある。人間を顧みれば、進化の過程で恐ろしいばかりの精密な機能を得て来たのだから。しかし粘菌的な、頭もなければ尻尾もない生物に、そこまでの機能分化が期待出来るかどうか。機能は一般的には形を伴う。

病も火に似ている。ほとんどの病に対処できるとしても、対処できない種類の病が一種類でも発生すれば、そこで生命体の命は終わる。とかげのしっぽ切りのように、部分を切り離せば済む場合もあるだろうけど、それこそ伝染病のようなものだったら、個体一個が全滅する可能性もある。生命体としてのリスクは高い。

進化には世代交代が必要だ。惑星規模の一個体の存在では通常の世代交代は無理がある。部分的に死と再生を繰り返すしかないが、それが自然に出来るかどうか。椿は枯れた花を落とすが、人間は髪にしろ爪にしろ、再生はともかく、不要な部分が自動的に分離されることはないように思う。

惑星規模の生命体は難しい。しかしそれは地球に住むわたしの常識が邪魔をしているだけで、宇宙のなかでは何事もあり得るのかもしれない。


【中古】 そして、星へ行く船 ロマンチックSF / 新井 素子, 竹宮 恵子 / 集英社 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】

 

 

関連記事

 

< 東は東、西は西。 >【prose】

 

 

-【prose】
-,

Copyright© 旅と風と日々のブログ , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.