旅あれこれ

◎致道博物館と致道館に行ってみましたよー。山形県鶴岡市ちょこっと観光。

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さすがに現地に行くまで気づかなかったわけではありませんが、鶴岡の観光を調べ始めた時は、致道博物館と致道館が違うものだとは意識してなかった。

致道館は昔の藩校跡ですね。
致道博物館は明治初期の建物をいくつか移築した博物館。というか、建築集合エリア。建物の中にも展示物はあるけど、基本的には建物自体が一番の見もの。

場所も違うの。お城の跡を挟んで、西に致道博物館、東に致道館があります。

 

致道博物館。

このエリア全部行けて入場料は800円。割安感がありました。

旧西田川郡役所

わたしが行った時には旧西田川郡役所は修繕のため中に入れませんでした。
映える建物ですね。

背景が城跡の木々であるせいで、現代の建物が見えず写真としてとてもまとまっている。
これは旧鶴岡警察署庁舎のテラスから撮りました。

なかなかちゃんとした擬洋風建築。……と、わたしごときがちゃんとしたと言ったって何ほどのことはありませんが、棟梁は高橋兼吉と石井竹次郎という人で、西洋建築を学んだそうです。鶴岡市出身。

だが高橋兼吉のwikiには「東京や横浜で西洋建築を学んだと言われる」と書かれているので、アカデミックに西洋建築を学んだかどうかは不明。ただ全体のデザインがすっきりしていて上品なので、センスのある人だったんだろうなと感じます。

旧鶴岡警察署庁舎。

これも同じ高橋兼吉の建築。

おお、なんと高橋兼吉は、他にも城跡にある荘内神社や善宝寺の五重塔も建てているそうですよ!どっちも行った!知らずに見たけど、こんなに重要な建物を和風洋風数々任されているということは、鶴岡第一の棟梁だったんでしょうね。

鶴岡警察署は昔の取調室が面白かった。小さい――6畳くらいと感じたがもう少し広いか?――洋室で、不自然な高低差がある。低い方にむしろが敷いてあり、今から思えばこれはお白州の形を残しているのではないだろうか。そう考えれば不自然な高低差の説明が出来る気がする。

そして階段がものすごく急。昔のお城なんかは梯子とあまり変わらない急こう配の階段が多いが、それをそのまま洋風建築に持ち込んだのかもしれない。蹴上も高くて、これを日に何度も上り下りしたら絶対何人か転がり落ちて怪我をしますよ。昔の人は現代人よりは足腰が強かったことでしょうが、こわいなあ。

2階は意外に狭いんですよね。それをいえば1階もそんなに広くはない。このくらいの規模で明治期の鶴岡の警察機能を賄えてたのだろうかと疑問に思う。現代の、1人1つの机があるオフィスを考えたらダメなのか。

旧庄内藩主御隠殿(ごいんでん)。

御隠殿というと一瞬、何?と思うが、一般的にいう隠居所だそうです。中は資料や模型などの展示のためにだいぶ改造されており、主室以外はあまり往時の面影を留めません。そして主室の作りを見ると、「ここでどういう風に暮らしていたのだろう?」と疑問。

うまく説明が出来ないのですが、居住空間というよりはむしろ大広間的に作ってあって、ここで藩主が起居していたイメージが湧かない。床の間や飾り棚はあったので、謁見なりとは行っただろうけど、隠居所にしては大空間なんですよね。日常の居間や寝所は立ち入り禁止区間にあったのだろうか。

資料の展示も大事ですが、もう少し原状回復を試みてもいいように思う。

酒井氏庭園。

御隠殿の主室から見える庭です。漏れ聞こえて来たガイドさんの説明によると、「建物から眺めるための庭」とのこと。つまり池泉回遊式庭園のような、その中を歩き回って楽しむ庭ではないということですね。規模は小さいです。

旧渋谷家住宅・重要有形民俗文化財収蔵庫・民具の蔵。

主じゃない見どころが他に4つ。いや、全部見ますけれどね、せっかく入場料を払ったんだし。

でも旧渋谷家住宅・重要有形民俗文化財収蔵庫・民具の蔵については、民具が好きな人が見ればいいと思う。こういってはなんですが、展示物はかなり地味です。地味だし、ただ並べてあるだけでどうも……。住宅は住宅として外側を美しく見られるけど、旧民家はあちこちで見るのでそんなに変わったものというわけでもなく。

ただここでぜひ見た方がいい!と思うものが一つあります。それは舟。

これは最初に見た舟を撮ったものです。全体では数艘、もっと大きい舟もあって、これが見応えがある。建物内の展示でこのサイズの船を、しかも紐とかガラスケースとか段とかで区切ることなく見せてくれるのは珍しいのではないでしょうか。

わたしは漁や船舶に特段興味のない人間ですが、実際に使われていた舟の船縁に頬を寄せて、このアングルで見られるのは新鮮な体験でした。臨場感がある。十数人が乗り込んで漁をしていた舟だそうです。かなり大きい。

葛飾北斎の「神奈川県沖浪裏」で波に翻弄される、エンドウ豆のように並んで描かれている舟と漁師たち。あの舟はこれくらいの大きさだっただろうか。こんな舟で大波に翻弄されて。「板子一枚下は地獄」という漁師の仕事の困難を表す言葉がありますが、それはこんな舟のことなんだろうなあ。

そして、美術展覧会場。

ここは字のごとく、美術展覧会場らしい。……って説明になっていませんが、実際に美術展をやっていました。わたしが行った時は個人の画家の、原爆をモチーフにしたでっかい現代美術の絵。というよりはデザイン画・抽象画に近いもので、正直感心はしなかった。

そして一見さんの観光客の立場から正直なところを言わせてもらうと、……この場所にこの建物は不要なんじゃないでしょうか。

せっかく歴史的建造物集合展示会場としてまとまっているのに、この美術展覧会場があることで、コンセプトがブレるんですよね。コンセプトのずれはクオリティの低さを感じさせてしまう。わたしはコンセプト先行の現代建築が嫌いですが、それでもこういう施設でのコンセプトの混乱は賛成しない。

しかもこれが敷地の中心に建ってますからねー。周りの雰囲気と合わないことおびただしい。一つだけ、4,50年前の、当時のモダン建築ですから。40年前のモダン建築はまだ味が出て来るには早く、単に古い建物に感じるんです。これが隣にあることで御隠殿の佇まいがだいぶ阻害されていると思う。側面が全く見られないわけだし、スペース的にキツキツ。

この建物内部も失礼ながらコキタナイ感じで……。1階は、見たところ半分倉庫ですよね。入口から入って乱雑な倉庫だとテンションが下がる。2階は1階より若干マシですが、大同小異。

規模の小さい自治体で文化施設に割く予算もそうそうないと思うけれども、予算が出来たらこの建物は撤去してしまった方がいいと思う。コンセプトのずれがなくなり、このスペースが空くと、致道博物館のイメージは1割増しくらいになるんじゃないかなあ。数字に根拠はないですが。

そしてさらに、重要有形民俗文化財収蔵庫・民具の蔵についてもいいたい。展示物をただ数多く並べるんじゃなくて、もう少し取捨選択した方が展示物の価値があがるのではないだろうか。わたしは舟には強い印象を受けたが、その他のものはどうにも目が留まらず。

目の端でちらっと「何かを背負う」道具を見て、潜在意識下でデザインがいいと思った。が、何しろあんまりたくさん色々並んでいるので、それについて思いを致したりじっくり見たりすることもなく、そのまま通り過ぎてしまった。意識上に上ったのは後で土産物屋さんに行った時。そうか、あれは「ばんどり」というのか。現代に作られた鮮やかなばんどりを見て自分がさっき目の端にとらえたものの価値を知る。

それは逆にいえば、土産物屋さんに行かなければその存在を認識出来なかったわけだから、――やっぱり数だけあればいいってもんじゃないと思うんですよ。選んで、説明して、何を見ているのかわからないわたしのような人の印象にも残るようにして欲しい。

まあ全て、先立つものは金なわけだが。お役所の皆様も「予算が……」と悔しい思いをしているかもしれません。少しずつでも予算を溜めて(予算って溜められないのか?)、建物自体も含めた展示方法の改良をしてもらえたらうれしいですね。

 

とりあえず致道博物館。

引き続いて致道館について綴ろうと思ったのですが、すでにけっこう長くなったような気がするので、今回は致道博物館のみにしますー。

実は実際の行動でも致道博物館を見終わって、そのあと致道館に行こうとしたのですが、暑さに負けて果たせなかったんですよね。いや、そりゃばてるわな。何しろ致道博物館って昔の建物の集合体なだけに、基本的に冷房なしですから!首振り扇風機しかない!思わず扇風機の首振りに着いて行っちゃったよ。

暑い時は涼しい部屋に籠っているのが一番です。何をわざわざ好き好んで炎天下を歩いたりするのか理解が出来ない。……って自分がやったんですけど。だって鶴岡まで行ったらそれなりに観光はしたいじゃないですか!

でも具合悪くなる前にスケジュールを変更したのが良かった。致道博物館の後は、居心地のいいカフェでシュークリームとアールグレイのアイスティーで涼みました。ここのカフェが良かった。

カフェスタジオサンク

場所もいいんですよね。お城跡観光の合間に絶好の立地です。隣は意識高い系の地元産品お土産屋さんの清川屋。新しくて広くて、明るくてくつろげます。シュークリームとアイスティを食べましたー。シュークリームは小さめ。アイスティは量も十分。美味しかった。

ちなみに注文はQRコード読み込みでスマホから。カメラ機能でQRコードにピントを合わせるとピュン!とメニューページに飛び、そこからスムーズに注文できます。
……スマホで注文したの初めてでしたー。スマホ苦手。

次は致道館へ行きます。

 

 

 

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